今年4月に『忙しい人ほどマネしてほしい お金が増える暮らしのルール』を出版した、30代ワーママ、えまさんのインタビュー中編をお届けします。えまさんは、株式投資を始めてからおよそ10年間で、600万円増やすことに成功しています。今回は、その投資法についてお伺いしました。
浪費癖が付いている人は「先取り貯蓄」を始めよう
──えまさんは20代前半で株式投資を始められたんですよね。
えまさん 社会人2年目くらいで投資を始めました。今の私を知る人に話すと「信じられない!」といわれるのですが、学生の頃はひどい浪費家だったんです(笑)。当時はバイトに精を出していたのですが、稼いだお金は洋服やブランド品に全て注ぎ込んでいました。
でも、社会人になって、少しはお金を貯めないとマズイと考えるようになり、会社に勧められた財形貯蓄を始めました。
──いわゆる天引き貯金ですね。
えまさん はい、毎月自動的に給与から天引きされるというものです。
──えまさんは、著書の中で「先取り貯蓄」という言葉を使っています。収入の中から一定の額を先に抜いてしまえば、そのお金は使うことができないから、自然とお金が貯まるということだと思います。それを実践されたわけですね。
えまさん はい、お金があるとつい使ってしまうという人は「先取り貯蓄」を検討してみるといいでしょう。もっとも、「先取りしたお金は絶対に使わない」というルールを徹底する必要がありますが。
──その後、投資を始めたわけですか。
えまさん 職場の先輩から株式投資のことを聞き、興味をもったのがキッカケです。財形貯蓄を始めたこともあって、少しずつ蓄えができていたので、試しにどこかの株を買ってみようかなと。それでまず楽天証券に口座を開設しました。
──最初に買った銘柄を覚えていますか。
えまさん 自分にとってなじみのある会社がいいかなと思い、普段、商品を使っている「ファンケル(4921)」を買いました。100株12万円くらいと、自分にも無理せず買える価格帯だったのも、ファンケルに決めた理由です。
それくらいなら、万が一、株価が下落しても大きな痛手を被ることはないだろうと。結局、株が上がって少し利益を得られたので、その心配は杞憂(きゆう)に終わりましたが。
──自分がよく知る会社の株を買ったのが成功の一因なのですね。
えまさん 私はそう思います。例えばよく行くお店であれば、お客が減っているとか、行列が長くなったとか、何となく感じ取ることができますよね。どこどこに新しいお店をオープンするとか、そういう情報も耳に入ってきます。だから、今が買い時とか売り時とか、ある程度は判断できると思います。
──知らない会社の株を買ったことは一度もないんですか?
えまさん いえ、なくはないかな(笑)。ずいぶん前のことですけど、風力発電の会社の株が上昇しているとネットで騒がれたことがありました。実は当時、負けが込んでいたこともあって、これで取り戻そうと買ってみました。ところが、すぐに株価が下落して、20万円ほど損をしました…。
──今はその失敗を生かしているんですね…。
えまさん はい、よく知りもしないのに、ネットの情報をうのみにして買ったのが間違いでした。
身の丈に合わない投資はすべきではない
──当時は勝つこともあれば負けることもあったんですか?
えまさん 最初の頃は、年間トータルでマイナスだったこともありますが、4年目からは何とかプラスをキープしています。ただ、投資にのめり込んだわけではなく、お金が貯まったら、気になる銘柄を買って、株価が上がったら売るという感じでした。しかも、投資金額も多くはなかった。だから、勝ったといってもせいぜい年間20万~30万円程度でした。
──これまで買った銘柄をいくつか挙げていただけますか?
えまさん 「ZOZOTOWN」を運営するZOZO(3092)とか、オリエンタルランド(4661)とか、メルカリ(4385)とか。あと、これはわりと最近ですが、任天堂(7974)も買いました。
──任天堂は、この10月に株式分割を行ったので、ずいぶん買いやすくなりましたが、前はめちゃくちゃ高かったですよね。
えまさん 私が買ったときは最低400万円(100株)必要でした。当時、ゲーム機の「Nintendo Switch」が爆発的に売れていて、まだまだ業績が伸びるだろうと、思い切って購入したんです。でも、買ってすぐに後悔しました。
そんな大金を株に注ぎ込んだのは初めてだったので、いてもたってもいられないくらい怖くなったんです。万が一、大きく下落したら、どうしようと。
──結局、どうされたんですか?
えまさん 結局、その日のうちに売り払いました。身の丈に合わない投資はすべきでないとつくづく思いました(笑)。
個別株投資からインデックス投資に
──結婚、出産後は、ご主人の給与だけでやりくりしてきたんですよね。ご自身の給与はそっくり残るわけですから、かなりの額を投資に回せるようになったのでは?
えまさん そうなんですが…。最初の頃は独身時代同様、たまに気になる銘柄を買う程度でした。子供の教育費ということで貯めていたので、何があっても減らすわけにはいかない。だから、株を買うのは自重して、結局ほとんどは貯金に充てていました。
──でも、ブログやインスタを見ると、2020年には150万円ほど、2021年は300万円以上、投資で稼いでいますよね。
えまさん その頃から投資にまわすお金を増やしたんです。
──何かキッカケがあったのですか?
えまさん 「投資信託」と出会ったことが大きいですね。それまで私は個別株投資しかやっていなかったんですね。もちろん、投資信託という商品があるのは知っていましたが、それがどういうものなのか、きちんと理解していませんでした。
ところが、「つみたてNISA」が人気を呼んでいることを知って、それについて調べるうちに、投資信託、とくにインデックスファンドの魅力に気づいたんです。
──インデックス投資は個別株投資に比べてリスクが少ない。だから、まとまった金額を投資するようになった、ということですか?
えまさん 個別株投資はうまくいけば大きく稼ぐことができますが、当然、大きく減らすこともあります。最悪、半分に減らすようなこともあります。インデックス投資も、投資には違いないので、銀行預金のように元本が保証されるわけではありません。しかし、個別株に比べたら変動幅が少ないですし、着実に増やせると考えました。
──インデックス投資には、株式投資より労力が少ないというよさもありますよね。
えまさん それも大きいですね。個別株投資の場合は、その会社の業績を常にチェックしていなければならないし、それなりに時間を取られます。毎日、仕事や育児に追われている身にとってはけっこう大変なんです。その点、インデックス投資は、ほったらかしでOKですから。
──インデックス投資をメインにしたことで、2020年、2021年は大きく稼ぐことができたのですね。
えまさん 本来、インデックスファンドは長期にわたって保有すべきものであり、ひんぱんに売ったり買ったりするものではありません。基本的には長く保有すれば保有するほど恩恵にあずかりやすい商品なんです。ただ、私はそのことをよく理解していなくて、一度買ったものを売却してしまいました。そしたらたまたま利益が出たんです。それが2020年、2021年ですね。
――ちなみに、えまさんはどのファンドを保有しているんですか?
えまさん 最初は複数の商品に分けていたのですが、今は私も夫も1本に絞り、それぞれ月3万3,333円(年40万円)ずつ積み立てています。私は、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」、夫は同じく「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」です。
──えまさんは米国市場、ご主人は世界全体に投資しているんですね。
えまさん 私にとっては米国経済が好調を維持してくれたほうが、都合がいいですが、夫婦で分散しているので万一米国経済が不況になってもなんとかなります。
──2020年と2021年の利益は、全てインデックスファンドで稼いだのですか?
えまさん いえ、そうではありません。それまで保有していた個別株を売却した利益も含まれています。
──なるほど。インデックスファンドと株式投資の切り替えタイミングで利益が出たということですね。では、次回はトウシル読者へのアドバイスをお願いします。
「物価高こう乗り切ろう!」30代ワーママの家計管理術 節約投資家・えまさん-前編
お金が貯まらない人の共通点、何を改めるべき? 節約投資家・えまさん-後編