子供の教育費や自分たちの老後を考えると、お金を残さなければと思うのだが、出費が増えるばかりで、なかなか貯まらない──。そんな思いを抱いている人は少なくないでしょう。そこで今回は、今年4月に『忙しい人ほどマネしてほしい お金が増える 暮らしのルール』を出版した、えまさんにご登場いただきました。

 えまさんは30代ワーママで、独自の家計管理ルールを策定して、日々、実践しています。また、20代前半から株式投資を行っていて、以来約600万円の運用益を得ています。まず前編では家計管理術を中心にお話をお伺いしました。

[えまさんプロフィール]

えまさんのサイト「シンプルに貯まる貯金術と家計簿」
近著『えまの家計簿 貯めグセがつく お金レッスン』『忙しい人ほどマネしてほしい お金が増える 暮らしのルール』
えまさんのインスタグラム

 暮らしのお金研究家。30代ワーママで、ご主人、小学生の長男、幼稚園に通う長女の4人家族。出産を機に、家計管理に真剣に取り組むようになり、「先取り貯蓄」で毎月確実にお金を貯めるライフスタイルを実践。

 一方、20代前半から株式投資を行っていて、2020年には155万円、2021年は322万円増やすことに成功した。ブログやインスタグラムでも家計管理や節約術、投資情報などを発信。インスタグラム『整えて貯める暮らしのコツ─えまの家計簿─』はフォロワー17万人。

妊娠・出産を機に家計管理のルールを策定した

──著書『忙しい人ほどマネしてほしい お金が増える 暮らしのルール』『えまの家計簿 貯めグセがつく お金レッスン』を読ませていただきました。えまさんは、お2人のお子さんをもつワーキングママで、お金や投資の専門家というわけではないですよね。どんな経緯で本を出すことになったのですか? 

えまさん もともとブログやインスタグラムで家計管理や節約術に関して発信していました。それを見た、出版社の方が興味を持ってくださったようです。

 KADOKAWAの編集者の方から、本を出さないか?というお話をいただいたときは、「ただ趣味で投稿しているだけであり、別にお金のプロでもない私が偉そうに本で語るなんて…」、と恐縮し悩んでいましたが、編集者の方から、「プロではない、えまさん自身の等身大の体験が読者にもきっと役に立つ!」という言葉で、出版を決意。おかげさまで増版もできました!

──インスタグラムのフォロワーが17万人と伺っています。えまさんの家計管理術をヒントにする方が多いのですね。

えまさん 私は20代後半で結婚・出産したのですが、それを機に家計管理に真剣に取り組むようになりました。夫と2人だったら、毎月多少の貯金しておけばいいかな、くらいに考えていたと思いますが、子供ができて、将来に向け、きちんと蓄えをつくろうと考えるようになったんです。それで、夫と話し合い、いくつかお金に関する家庭内ルールを取り決めました。

 市販の家計簿は項目が多く、買い物をしたときにどの項目に入れればいいのか迷ってしまうとか、いろいろ不便がありました。それで、だったら自分が使いやすい家計簿を作ってしまおうと思って、私なりの家計簿を作ってみたんです。

 それをインスタグラムで公開したら、多くの人に興味をもっていただいたので、『えまの家計簿 貯めグセがつく お金レッスン』として書籍化していただいたんです。

ブログでは、貯金ができるようになった節約術と家計簿の書き方も公開。忙しいワーママでも時間をかけすぎずに家計管理をする「勝手に貯まる家計簿」を目指してさまざまな方法を伝授している。サイト内には無料でダウンロードできる家計簿フォーマットも。

──今年4月に刊行された2冊目『お金が増える暮らしのルール』は、投資の話がメインになっていますね。

えまさん はい。「お金を動かす」、つまり投資にお金を回すことで、資産を増やすことができたので、2冊目は、「家計を管理する」から「投資をする」というテーマに絞って、これまで何に投資してきたのか、投資に当たってどんなことを心掛けてきたのかなどを中心にまとめました。

──「投資は怖い」「知識がないともうからない」といったイメージを抱いている人も少なくないと思います。そういう方々に伝わるように書くのは大変だったのでは?

えまさん 確かにそういうイメージはありますよね。でも最近は「つみたてNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)」の認知度が上がったりして、ひと昔前よりはずいぶん身近なものになったと思います。きちんと守るべきことを守れば、投資は決して怖いものではないし、大きなリスクを取らずに資産を増やすことも可能です。

 それに専門知識は必ずしも必要ではありません。ひと口に「投資」といってもいろいろな金融商品や投資スタイルがあるので、特別な知識がなくても始められるものもあります。そうしたことをより多くの人に知ってもらいたいという思いもありました。

夫の給与だけでやりくり。自分の給与はいさぎよく全額貯蓄

──ここからはえまさんの投資術についてお聞きしていこうと思いますが、その前に、結婚後、夫婦で相談して取り決めた家計管理のルールについてお伺いできますか。具体的にどのようなルールを設けたのでしょう?

えまさん 最初はまず、「生活費は夫の給与のみ、それも基本給だけで賄う」というルールを決めました。つまり、夫の給与のうちの残業代と、私の給与は全額、貯蓄および投資にまわすことにしたんです。

──ご主人はかなりの高額収入者なんですか?

えまさん いえ、そんなことはありません。いたって普通のサラリーマンです(笑)。

──ご主人の基本給だけで生活できるものなんですか?

えまさん できるかできないかでなく「そうしよう」と決めたんです。つまり、夫の基本給だけでやりくりできるよう、生活サイズを変えることにしたんです。

──具体的にはどこを捨て、どこを残したのですか?

えまさん 例えば私たちは自動車を保有していません。自動車を持つと、ローンや維持費がかさんで、夫の基本給だけでは、とてもやっていけないと分かったからです。また、結婚後しばらくしてマイホームを購入しましたが、これも月々の返済を抑えるため、新築はあきらめて中古マンションにしました。

──それでご主人の基本給だけで生活できるようになったのですか?

えまさん はい、ただ、ほかにもいろいろ工夫しました。夫婦の家計を一つにして、お互い好き勝手に使っていたお金を小遣い制にしました。また、スマホも大手キャリアから格安スマホに乗り換えました。買い物も毎日行くのをやめて、週に1度まとめ買いするようにしました。

──買い物を週1にすると出費が減ります?

えまさん かなり減ると思いますよ。誰でも経験があると思いますが、スーパーに行くと、つい余計なものを買ってしまいますから(笑)。

子供のために協力してほしいと小遣い制に渋る夫を説得した

──それらのルールを決めたのは、お子さんが小さかった頃だと思いますが、普通は子供の成長につれ、出費が増えていくと思います。また、先ほど話したように最近は物価の高騰が続いています。今もご主人の基本給だけでやりくりできていますか?

えまさん 子供が大きくなるにつれ、出費が増えるというのは想定していました。だから、そのときどきの状況に応じてルールを微調整しようと思っていましたし、現にそうしています。具体的にいうと、今は夫の基本給だけでなく、残業代の一部も生活費に回しています。あまりにきりきりと決めた通りに縛られていると生活が楽しくなくなるので。

──でも、昨今の物価高はかなり痛いですよね?

えまさん はい。電気代なども、以前に比べてかなり高騰していますし、日用品や食用品の高騰など、予想外なことも多く発生していますね。ただ、反対の意味で、想定していなかったこともあります。

 例えば、コロナ以降、私も夫もテレワークがメインになりました。そして、その結果、出費が減ったんです。私は洋服を買ったり美容院に行く回数が減ったし、旦那は食事代や飲み代がかなり減少しました。

──相殺されて、結果的にはさほど出費は増えていないのでしょうか?

えまさん はい、だから、夫の残業代に手をつけることはあっても、私の給与は手つかずのままです。

──ちなみにご主人の小遣いは、前と同額ですか。

えまさん いえ、テレワークがメインになり、昼食も夕食もほとんど家で取るようになったので、半額に減らしてもらいました(笑)。

──抵抗はなかった?

えまさん 渋々ですけど、受け入れてくれました(笑)。

──そもそも小遣い制を導入したとき、反対されなかったんですか。

えまさん 最初はあまり気乗りしない様子でした。でも、じっくり話し合ううちに、理解を示してくれました。

──自分はお金を貯めようと頑張っているのにパートナーがまったく協力してくれない、それどころかお金遣いが荒くて困っているという人も少なくないと思います。そういう人にどう説得すべきか、アドバイスをいただけますか。

えまさん 私の場合、「子供の将来のために貯めたい」「今が貯め時なんだ」と伝えました。正直、中学受験するかなど具体的、その場合いくらか、といった具体的な費用は考えられていませんでしたが、子どもが大きくなると貯めづらいと聞いていたので、今のうちからできることをしておく必要がある、と話しました。

──ただお金を貯めたいでなく、将来を想像して、「こういう理由で貯めたい」と目的を明確にすることが大事なんでしょうね。

えまさん そう思います。二人でその目標を合わせておくことで、同じ方向を向いて頑張ることができます。

──では、次回は投資に関してお伺いします。

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