お金を貯めるにはまず何から始めるべき?
今年4月に『忙しい人ほどマネしてほしい お金が増える 暮らしのルール』を出版した、30代ワーママ、えまさんのインタビュー後編をお届けします。後編では「お金を貯めたいけど、まったく貯まらない」という人へのアドバイスをお願いしました。
まずは生活をコンパクトにする
──ここからは「お金を貯めたいけど、まったく貯まらない」という人に、何から始めるべきか、どんな心構えをもつべきかなどのアドバイスをお願いしたく思います。まずは「何年でいくら貯めるのか目標額を決めること」が大事とよくいわれますが、やはりそこから始めるべきでしょうか。
えまさん それも大事だとは思いますが、個人的にはあまりお勧めしません。なぜかというと、最初に金額を設定しても、なかなか計画通りにはいかないからです。そもそも収入がどうなるかわからないし、今回の物価高のような社会環境の変化で支出が増えることもありえますし。いろいろ頭を悩ませてスケジュールを策定しても、絵に描いた餅で終わることが多いんです。
──では、何から始めるべきでしょう?
えまさん 何はともあれ、生活をコンパクトにしてみてはどうでしょうか。例えばマイカーを持っている人は、今の自分に本当に必要なのかをよく考えてみる。毎日通勤で使っている人や、自動車が一番の趣味という人は手放せないと思いますが、交通機関を利用すれば通勤や通学に支障がなくて、必要なときにレンタカーを借りれば事が済むという人も少なくないはずです。
──たいして必要でもないのに、何となく買っているものって、ほかにもいろいろありそうですね。
えまさん 私の場合、洋服やブランド品がそうでした。女性なら思い当たる節があると思いますが、洋服やバッグって、買えば買うほどまた欲しくなるんですね。どれだけあっても満足できない(笑)。だから、どこかで断ち切らないといけない!
──それが難しいわけでしょうけど(笑)。
えまさん そうなんです(笑)。一つの手としては、今、もっているものを思い切って処分してしまうことでしょう。
同じサイズ感のものや、使用勝手の悪いもの、高価すぎて使うのがもったいなく使用頻度が低いものなど、一軍でないものはほとんどメルカリやリサイクルショップで処分しました。その売上金で普段使いできる本当にお気に入りのものを一つ、買うことにしました。プラス5歳を意識して、長く使えそうなものを。
──そうするともう欲しくなくなりますか?
えまさん 次から次へと欲しいものを探していた日々がうそのようになくなりました。
──でも、捨てたり人にあげたりするのはもったいなくないですか(笑)。
えまさん 今はメルカリなどで手軽に売却できるじゃないですか。これをいうと、どれだけ持っていたんだと非難されそうですけど(笑)、私は洋服やブランド品をメルカリで売って、100万円以上の収入を得ました。身の回りが整理でき、なおかつお金も残って、一石二鳥だと思います。
──まったく利用しなくなったのに、会費だけ払い続けているみたいなこともけっこうありますよね。
えまさん スポーツジムとか、サブスクとかありがちです(笑)。ジムなどは会費も安くないのですから、利用頻度が少ないなら、YouTubeで運動するなどの安いものへ乗り換える、「替え活」をオススメします!
つみたてNISAを利用してインデックス投資を始める
──まず生活をコンパクトにして出費を減らす。次はどうしたらいいですか。
えまさん まずは「先取り貯蓄」を始めることでしょう。生活を見直して支出を減らすと、最低限これくらいで生活できるという目安がわかります。それで、余ったお金を「先取り貯蓄」して、それにはいっさい手を付けないようにする。そのお金は「ないもの」として生活するわけです。
──それで、ある程度貯まったら、銀行で寝かせておかずに、投資に回すといいのでしょうか?
えまさん はい、それがいいと思います。
──やっぱりインデックス投資を勧めますか?
えまさん 人によっていろいろな考えがあるかもしれませんが、初めて投資するなら、インデックスファンド一択かな、と私は思います。投資の基本は、投資先を分散することですが、個別株だと、基本的には100株単位でしか買えないので(日本株の場合)、何種類も保有するのは難しい。
その点、投資信託は、複数の投資先に分散投資する商品なので、一つの商品で分散できます。とくにインデックスファンドは、日経平均株価やNYダウ(ダウ工業株30種平均)などの株式指数に連動する運用成績を目指すものなので、長期的視点で見ると堅実なリターンを期待しやすいんです。
──その際は「つみたてNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)」も活用すべきでしょうね。
えまさん もちろんです。通常、投資で得た利益には、約20%の税金がかかるのですが、つみたてNISAを利用すれば、いっさいかかりません。ですから、証券口座を開設したら、つみたてNISAの申し込みを行うといいでしょう。
ただし、つみたてNISAは年間40万円までしか投資できないので、お金に余裕のある人は、つみたてNISAに加入した上で、別途、インデックス投資を行うといいかもしれません。
──つみたてNISAは、金融庁が指定した対象商品(投資信託とETF(上場投資信託))の中から選んで積み立てる仕組みです。えまさんは、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)で運用されているとのことですが、日々、米国経済を気にすることはあるのですか?
えまさん いえ、それはあまりないですね。というのも、前に話したようにインデックスファンドは長期間保有することに意味があります。だから、今、価格が上がったところで売却するつもりはありません。今、どうこうではなく、長期的に発展してくれることを願っています。
過度な節約は心がすさむ原因になりかねない
──最後にトウシル読者にアドバイスをお願いできますか。
えまさん まずは、長い人生の中には、お金を貯めやすい時期とそうでない時期があることを知ってほしいですね。お金を貯めやすい「貯めどき」は、「独身のとき」「夫婦共働きのとき」「子供に手がかからなくなったとき」「子供が社会人になったとき」の四つです。
これら以外の時期、例えば子供が生まれてからしばらくの間などは、出費が増えたりして、お金を貯めるのが難しくなります。ですから、今がそれらのどれかに該当する人は、チャンスだと思って、貯蓄に励んでほしいですね。
──その条件でいうと、えまさん宅は、今は貯めどきではないのでは?
えまさん 貯めどきどころか、いちばん貯めにくい時期かもしれません(笑)。まだまだ子供には手がかかるので、夫とも協力して、何とか乗り切るつもりです。
また、もう一つ大事なことを。あまりお金に執着すると、心がすさんで、ぎすぎすした毎日になりかねないので注意してほしいということです。生活費や食費を切り詰めたあげく、ストレスがたまって精神的につらくなったり、家庭内がぎくしゃくしたら、元も子もありません。
──たまには無駄遣いするとか、メリハリをつけたほうがいい?
えまさん 無駄遣いがいいとは思いませんが(笑)、何から何まで切り詰めなければいけないとは考えないほうがいいでしょう。例えばウチでは、最近、犬を飼い始めたんです。私自身、前に飼っていたことがあり、どれだけお金がかかるか知っていたので、家計を考えるとちょっと悩んだのですが、子供たちがどうしてもほしいというので、飼うことにしました。
子供たちは毎日、楽しそうに犬と遊んでいるし、私自身、心から癒されますし、今は飼ってよかったと思っています。
──一番大事なのはお金ではないということですね。
えまさん はい。おっしゃる通りです。
──今日はありがとうございました。
えまさんのブログ
えまさんの近著
「物価高こう乗り切ろう!」30代ワーママの家計管理術 節約投資家・えまさん-前編
自己流なのに、10年で600万円増やせたワケ 節約投資家・えまさん-中編