株式相場は約10年にわたって今と同様の水準で推移する!?
ジョージ・ソロスのクォンタムファンドに在籍していた時、ファンドの収益のほとんどを稼いだことで有名なスタンレー・ドラッケンミラー(デュケーヌ・ファミリーオフィス)が、9月28日、ニューヨークで開かれたCNBC主催の会議で、「来年にリセッションが起きなかったら驚きだ。実にひどいものとなる可能性も排除しない」と発言したという。
ドラッケンミラー氏はリセッション(景気後退)に至る要因として、世界で30兆ドル(約4340兆円)に達した大規模な量的緩和を挙げ、来年末までの「ハードランディングが当社の中心シナリオだ」と語った。株式相場は約10年にわたって相対的に今と同様の水準で推移すると、ドラッケンミラー氏は予測。ただし、こうした環境でも稼ぐことは可能だとし、中央銀行に対する不信が強まれば、仮想通貨は恩恵を受ける可能性があるとの見方を示した。
出所:9月29日 ブルームバーグ『ドラッケンミラー氏、来年にリセッションが起きなければ「驚き」』
ネッド・デービス・リサーチのモデルによれば、世界経済がリセッション(景気後退)に陥る確率は最近98%を上回る水準に上昇。深刻なリセッションのシグナルが点灯している。
このモデルがこの水準まで高まったのは、2020年と、2008~2009年の深刻な景気下降期だったという。
「今回のイベントが特に危険なのは、債券、株式、不動産が揃ってインフレになっているからだ。コモディティまでもが急上昇している。このようなことは、これまでどこでも起こったことがない。最も近かったのは1989年の日本で、南海バブルよりもひどい記録的な土地と不動産、そして当時65倍を記録した株式のPERという、2つの資産カテゴリーが超インフレになっていた。経済的には悲惨な結果となり、土地も株もいまだに1989年のピークには戻っていない」
(ジェレミー・グランサム)
中央銀行の「後始末戦略」という野放図な政策のツケが回ってきている。経済学者のルートヴィヒ・フォン・ミーゼスは、「中央銀行の刺激策で上昇したものは、インフレや弱気相場にかかわらず、必ず下落する。
それは時間の問題であり、どれだけ(下落が)深刻なのかという問題である」と語ったが、MMT(現代貨幣理論)は、過去一度も機能しなかった。18世紀初頭のフランス、西暦180〜280年のローマ帝国、または19世紀と20世紀のワイマール共和国、ジンバブエ、アルゼンチン、ベネズエラを確認すればわかるだろう。
歴史的に見ると、バブルはいったんはじけると、より「正常な」価格に落ち着くよりも、下降に転じることが多い。唯一の問題は、市場が底を打つまでの時間である。