日銀の単独介入の答えはもう出ている

 日本は1兆1,720億ドルの外貨準備を持っているが、介入をいったん開始すると停止するのは困難となる。

 過去の介入をみると、日本銀行の円買い介入は円の下落を止めることができなかっただけでなく、介入後はさらに大きな下落に見舞われている。日銀の単独介入の答えはもう出ているのである。

日銀の円買い介入とドル/円相場(1997~1999年)

出所:ゼロヘッジ

 ローレンス・サマーズ元米財務長官は日本が円を押し上げようと為替介入に踏み切ったことついて、正しいアプローチではないとの考えを示した。

「トレンドに逆らって介入する場合、金融政策の方向性に逆らって介入する場合には、その通貨の軌道変更に有効になる可能性と短期筋にとっての好機になる可能性とが同じくらいだ。日本はまさにこのケースだ」と語った。

 政府・日銀が22日に実施した円買い・ドル売り介入が3兆円規模となったことが26日、市場参加者の推計でわかった。

ドル/円(日足) 

(赤↑=買いシグナル・黄↓=売りシグナル)
出所:楽天MT4・石原順インディケーターV

 日本の金融当局が気にしているのは、ドル/円の日中の変動幅である。1日3円も動けば介入するが、例えば、じり高で3カ月かけて147円になっても介入はしないという。要するに、相場のスピードが問題となる。

なんと、英中銀はQT(量的引き締め)をあきらめQE(量的緩和)を再開!

 英国のリズ・トラス政権は1972年以来となる大規模な減税政策を打ち出した。

 個人や企業が直面する光熱費の高騰に対応したもので、個人所得税を引き下げ、予定していた法人税率の引き上げを撤回するものだ。

 また、不動産を購入する際に必要となる印紙税も削減、今後6カ月間で日本円にして9兆円を超える額を拠出して支援する。

 巨額の政府支出と減税の組み合わせにより、英国政府が抱える借金はさらに増加することが想定される。英国債の利回りは急騰、2年債の利回りは2008年10月以来約14年ぶりの高水準になった。通貨ポンドは対ドルで37年ぶりの安値をつけ、英国株も下落した。

 こうした事態をうけて、昨日、なんと英中央銀行はマージンコール(追証)による国債急落への警戒から、無制限の長期国債購入を直ちに開始すると発表した。QEを再開したのである! 英中銀はQTを進めるという計画をあきらめた最初の中央銀行となった。

ポンド/ドル(日足)

(赤↑=買いシグナル・黄↓=売りシグナル)
出所:楽天MT4・石原順インディケーター

ポンド/ドル(週足)

(赤↑=買いシグナル・黄↓=売りシグナル)
出所:楽天MT4・石原順インディケーター

 また、クワジ・クワーテング英財務相は、28日に行う金融業界幹部らとの会合でポンドをショートしないよう要請するという。まるで中国のような政策ではないか…。

 昨日28日の欧州株は下げを埋め、上昇して取引を終えた。

 激しく変動する英国債市場を安定させるためイングランド銀行(英中央銀行)が国債購入に動いたことから、マイオピック(近視眼的)な投資家の心理が改善したのだという。

 しかし、英国はその支離滅裂な政策から、通貨安・金利高の破滅のループに陥る恐れがあると危惧されている。