市場は政策金利見通しの変化に揺れる

 インフレを抑制する目的で、FRBは3月から7月までの計4回のFOMCで政策金利(FF金利の上限目標)を0.25%から2.50%へ、計2.25ポイント引き上げました。

 こうした利上げを受け、債券市場では金利(利回り)が上昇。米国株は下落を余儀なくされました。直近の先物市場で試算される政策金利見通しによると、本年12月FOMC後のFF金利は4.02%程度と見込まれています(図表4)。

 現在のFF金利が2.5%であることから、市場は9、11、12月のFOMCで計1.50%(125BPS)の追加利上げを想定していることを示唆します。

 換言すると、来週のFOMCで0.75%、11月FOMCで0.50%、12月FOMCで0.25%の利上げが決定されることをほぼ織り込んでいるともいえます。2023年12月のFF金利予想は7月から8月にかけて2022年12月予想を下回り、一時は市場に「来年は利下げ」を意識させましたが、「ジャクソンホール・ショック」でこうした期待は後退しました。

 直近は「2023年の政策金利は据え置き(もしくは追加利上げ後に利下げ:2023年12月の政策金利は2022年12月と同水準)を視野に入れる水準に変化しました。インフレに関しては、グローバルサプライチェーンの混乱が供給制約の要因となり、川上部門の物価高が進んだとの見方が有力です。

 参考までに、NY連銀が発表している「グローバルサプライチェーン圧力指数」は低下基調(6月=2.32→7月=1.75→8月=1.47)となっており、供給制約に伴う物価上昇圧力も和らいでいることを示しています。

 来週開催されるFOMCでは、FRBが追加利上げ(0.75%を予想)を決定した上で最新の経済・金利見通しを発表します。ジェローム・パウエルFRB議長の記者会見を含め、余程のサプライズがない限り「イベント通過に伴う安堵感」が株式市場を下支える可能性が高いとみています。

<図表4>市場は政策金利見通しの変化に揺れる

(出所)Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2021年9月初~2022年9月14日)

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