円換算した米国株式への「長期積立投資」を検証

 長期の視点に立ち、円換算した米国株に積立投資(定時定額投資)を実践した場合の累計的成果も、市場実績に基づき検証してみます(図表4)。21世紀初頭(2000年初)に3万円を米国株(※)に投資し、その後も毎月末に3万円を継続的に投資してきたケースを考えます。
(※)S&P500総収益指数(円換算)

 2000年1月から2022年8月まで272回の定時定額投資を実践すると、累計投資額は簿価ベースで816万円(=3万円×272回)であったことがわかります。

 ドルコスト平均法および複利運用(雪だるま)効果で、投資元本の時価評価額は2022年8月末時点で約3,704万円に膨らんできました。これは、時価評価額が累計投資額(累計投資元本)の約4.5倍に膨らんできたことを示します。

 ここに至る過程では、ITバブル崩壊(2000年)、リーマンショック(2008年)、コロナショック(2020年)に伴う景気後退や株価下落を挟んできました。また、為替市場でもドル/円相場が乱高下した場面がありました。長期投資を実践する間に、株価や為替が大きく変動するケースは少なくありません。

 ただ、円換算した米国株が、預貯金はもちろん確定利回り証券や日本株のリターンを大きく上回り、資産を増やすことができたことが分かります。

 2000年初に100万円を米国株式に一括投資した場合でも、時価評価額は増えてきましたが、最初から多額の投資をすべきか否かは、投資家それぞれの資金繰りや、まとまった金額を一度に投資できるか否かを判断する「リスク許容度」によります。上記シミュレーションは、円換算の米国株に定時定額投資を続けた場合の長期的な資産形成効果であり、注目に値すると思います。

<図表4>円換算した米国株への長期積立投資を検証

*2000年初から毎月末に3万円ずつをS&P500総収益指数(円)に定時定額投資した場合を検証したもの。
(出所)Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2000年初~2022年8月)

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