株主優待制度は、個人投資家を優遇することを目的としている
株主優待制度は、個人投資家にとって、とても良い制度だと思います。なぜでしょう? それは、小口で投資する個人投資家を優遇し、大口で投資する機関投資家を優遇しない内容となっているからです。
買い物をするとき、たくさん買うほど、割引などのメリットを受けやすくなるのが、普通です。そこから連想すると、株主優待制度も、たくさん株を保有している大株主に手厚い制度だと勘違いしてしまいます。
驚くべきことに、優待制度は、大株主を差別し、小口の個人投資家を優遇する内容となっています。そのため、株主優待制度に反対している機関投資家が多数います。
個人投資家と機関投資家を、どう区別しているのか、具体的に見てみましょう。以下は、典型的な優待の一例です。
<A社の優待内容>
期末の株主名簿に記載されている株主に以下の自社製品を贈る。
上記の優待内容から、100株当たり、どれだけの金額の優待を受けられるかを計算したのが、以下の表です。
ご覧いただくと分かる通り、100株当たりの経済メリット享受額は、最小単位(100株)を保有する株主の1,000円が最大です。保有株数が大きい株主は、100株当たりのメリット享受額が小さくなります。
このように、優待制度は、小額投資の個人株主を優遇する内容となっています。個人株主数を増やしたい上場企業が、優待制度を積極活用して、個人株主にアピールしているわけです。
小売・外食・食品・サービス業では、個人株主がそのままお客さま(会社の製品やサービスの購入者)になることもあるので、広報宣伝活動の一環として自社製品を優待品に積極活用する企業が多数あります。
個人投資家には、とてもうれしい制度ですが、大口の機関投資家には、非常におもしろくない制度であることも確かです。