はじめに

注目された4-6月期のインテルの好調な決算発表に市場が湧きはじめ、日本企業の4-6月期決算発表が注目される中で行わせていただいた今回の楽天DIのアンケートですが、いつも通り、大変多くのお客様にご協力をいただくことが出来ました。まずは厚く御礼申し上げます。
内容的にも、現下足元の日経平均株価が年初来高値を更新する市場動向を如実に反映するようなものとなっており、やはり個人投資家の皆様の鋭い相場観には、それを業とする者としてもあらためて感服するしだいです。これからも皆様にご協力をお願いしながら、よりお役に立つようなものにしていきたいと思っております。

楽天投信投資顧問株式会社 代表取締役社長 大島和隆

1.日経平均の見通し

個人投資家の見方「短期、中期ともに強気、中期の強気度合いは、さらに高まりつつあり、景気回復から株価上昇を期待している」

Q1: 7月27日と1ヶ月後の日経平均の見通し DI= +5.69
(6月29日と1ヶ月後の日経平均の見通し DI= ▲1.85)
Q2: 7月27日と3ヶ月後の日経平均の見通し DI= +12.97
(6月29日と3ヶ月後の日経平均の見通し DI= +8.42)

今回の基準日となった2009年7月27日の日経平均株価の終値は10,088.66円です。6月中旬に一度10,000円の大台を回復した後、一ヶ月半の間調整し、7月月初には9,050.33円まで調整した株価が再び10,000円の大台を回復したその日の集計となっています。

まず前回、短期的には調整を見ると予測されたとおり、市場は月初から中旬にかけて押す場面を示現したわけですが、中期見通しの強気が維持されていた正当性を証明するかのように、月末に向かって市場は回復しました。後段Q5の結果に見られる通り、外国株式の注目度が高まっているのは、恐らくはインテル以降始まった米国ハイテク企業の4-6月期好決算の発表のおかげだと思いますが、日本市場でもその注目の4-6月期決算発表を待たずして日経平均株価は10,000円の大台を回復してきました。

そして注目の4-6月期日本企業の決算発表が始まりましたが、まずは日産(7201)とホンダ(7267)が営業損益で黒字化を発表、続くデンソー(6902)やアイシン精機(7259)といった自動車部品メーカーの決算も上期見通しの上方修正が続くなど期待を裏切らない内容のものが続いています。市場はこれらを受けて、年初来の高値を更新し、一時10,479.19円と10,500円超えかと思われる勢いで上昇しています。

たださすがに各種テクニカル指標でも過熱感が出始め、またTOPIXが21年振りに13連騰するなど、やや調整が入っても罰は当たらないといった状況になってきています。しかし、今回のDIでは短期的見通しだけではなく、中期的見通しについても強気度合いが前回からさらに進んでおり、投資家の期待値は「企業収益1-3月期底打ち確認⇒4-6月期で浮上開始」を織り込んで更なる高みを見る状況になっているかに思われます。

ネット証券の取り扱う個人投資家の売買シェアの高まりとリンクするかのように、従来は休みに合わせて夏枯れや閑散な市場となった時期に市場に動きが出るようになりつつありますが、今年も盆休みなど個人投資家主導の面白い相場が来る可能性もあるのかも知れません。今やインターネットの普及で、個人投資家と機関投資家の情報格差はかなりなくなっており、季節のアノマリーも変わっていくのだろうと思います。

2.為替相場の見通し

  ドル/円 ユーロ/円 豪ドル/円
7月27日 DI=△0.50 DI=5.02 DI=12.38
6月29日 DI=△15.15 DI=△6.23 DI=6.73

調査時点の円/ドルは94.82円、円/ユーロは134.79円です。今回の注目は豪ドルに対する円安見通しがDI開始以来最大値になったということです。このDIが円高を最大に見通した時は▲46.43(2008.10.6)まで低下していますが、今回は+12.38にまで高まり円安を見通しています。背景にあるのは、投資家のリスク許容度の高まりなのかも知れません。また通貨選択型の投資信託の人気化などもドルやユーロに対するものとは違う流れを市場が見始めるきっかけになっているのかと思われます。ユーロに対する見通しはプラス・マイナスを毎月交互に繰り返しておりますが、今月は円安を見ているようです。集計時135円に絡み始めた水準からさらに140円近い円安を見ているのかも知れません。

3.今後注目する投資先

(複数回答)

  今回 前回
アメリカ 23.93% 23.40% ↑ 0.53%
EU諸国 7.78% 7.91% △0.13%
ブラジル 25.61% 23.23% 2.38%
ロシア 12.13% 11.62% 0.51%
インド 50.88% 45.62% ↑ 5.26%
中国 59.50% 58.59% 0.91%
中東・北アフリカ 6.86% 4.04% 2.82%
東南アジア 19.16% 18.01% 1.15%
中南米 6.28% 5.05% 1.23%
東欧 2.68% 1.85% 0.83%

わずかではありますが、先月に引き続き米国株市場の人気が回復傾向なのは、景気回復が遅れる欧州が人気を失い続けるのとは対照的な結果になっています。そして引き続き景気回復期待の高い、むしろ次なる世界経済の牽引役を担うものと期待の高い新興国市場の人気は再び高まりを見せていると感じます。中国の注目度が高いことは言うに及ばずですが、インドも前月比+5.26%と好調、注目は欧州以外の全地域が前月比でプラスになっているということです。これは投資家のリスク・テイクに対して萎縮していた時期を過ぎ、徐々に収益機会を求めて目線が広がりつつあることを証明しているかと思われます。

4.今後注目する投資商品

(複数回答)

  今回 前回
国内株式 76.74% 77.95%  △1.21%
外国株式 26.61% 18.52% ↑ 8.09%
投資信託 19.83% 11.95% ↑ 7.88%
ETF 17.91% 17.51%  0.40%
FX(外国為替証拠金取引) 20.67% 27.27%  △6.60%
国内債券 5.02% 3.03%  1.99%
海外債券 7.87% 4.88%  2.99%
19.08% 19.70%  △0.62%
原油 9.62% 11.11%  △1.49%
商品 5.19% 8.59%  △3.40%
REIT 9.12% 9.26%  △0.14%
CFD 4.35% - -

今回からCFD取引を新規項目として追加いたしました。デビュー時点の注目度は4.35%と決して高くはありませんが、今後の展開に注目していきたいと思います。

全体としての注目は、外国株式が+8.09%、そして投資信託が+7.88%と大きく人気を高めているところにあります。これは前問Q4の回答で欧州以外の全地域が対前月比プラスの結果を収めたことと平仄を合わせていると思われます。つまり、直接有価証券に投資するスタイルと、間接的に投資信託を利用して投資するスタイルとを問わず、日本以外の地域へのリスク・エクスポージャーを投資家が探しているという結果だと思われます。これは為替のDIで豪ドルに対する見通しが円安を見通していることとも相通じるものがあると考えられます。

リーマンショックなどの金融危機から多くの金融商品がかなりなダメージを受けたことは事実ですが、徐々に、投資家のリスク許容度は回復してきていることを証明した今回のアンケート結果になったと考えています。

「DI(Diffusion Index)」とは

景気判断に用いられる諸指標を選定し、現状認識がどちらの方向に向いているかを示す指数。『楽天DI』では、日銀短観と同じ計算方法を採用し、「(強気回答数-弱気回答数)÷全回答数×100」、「(円安回答数-円高回答数)÷全回答数×100」で算出いたします。
【各指標の見方は以下の通りです。】
日経平均 DIがプラス→強気、DIがマイナス→弱気
為替   DIがプラス→円安、DIがマイナス→円高
すべての回答が中立だった場合、DIは0となります。

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