今日の為替ウォーキング

今日の一言

デイトレで生き残れる投資家は少数派。相場はタイムスパンが短くなるほど難しくなる

Jolene

 BLS(米国労働統計局)が8月5日に発表した7月の雇用統計のNFP(非農業部門雇用者数)は、事前予想の25.0万人増を2倍以上も上回る52.7万人の増加となった。前月分は37.2万人から39.8万人に上方修正された。失業率は3.5%に低下した。

 雇用の増加は、レジャー・サービス業やヘルスケア業を中心として広範囲の業種に及んだ。過去3ヵ月の平均値(40.6万人増)を超える増加数は、雇用市場の強さを印象づけた。

 平均労働賃金は、前月より0.5%増え、1年前に比べると5.2%増えた。前月分についても上方修正され、労働賃金は過去最大のペースで上昇している。

 NFP(米雇用市場における非農業部門雇用者数)は、新型コロナによって一気に大量の職が奪われた翌月のから2022年7月までの27カ月間で、のべ約2,174万人増加した。

 新型コロナは2020年3月と4月のたった2カ月間で2,156万人の職を奪ったが、米雇用市場は、今年の7月まで2年3カ月の月日をかけて、ついに全てを取り戻すことができたのだ。失業率は、コロナ流行後の2020年4月には14.7%まで悪化したが、2019年9月に記録した過去最低水準の3.5%まで低下した。

「雇用の最大化」を法的使命(マンデート)として掲げてるFRBは、雇用市場の強さを見てさぞや大喜びしているかと思いきや、その逆で「このままだと本当にヤバい…」と焦っているのだ。

 FRBは「雇用の最大化」と共に「物価の安定」という使命、いわゆるデュアル・マンデートを負っている。FRBにとって頭が痛い問題は、雇用市場の強さが物価の安定を脅かしていることだ。求人数の多さは、米雇用市場がオーバーヒート状態になっていることを示す。

 高い給料を提示して働き手を求める会社が少なくなれば、労働コストは低下する。インフレ率も下落する。FRBは利上げペースを緩める余裕ができる。そうなれば、米経済が減速から本物のリセッションに悪化する前に、ソフトランディング(軟着陸)させることもできるかもしれない。雇用の安定を守りながら、物価の安定を達成することがFRBの究極の目標なのだ。そのためには、労働市場が均衡に近づくまで求人需要が減る必要があるのだ。

 詳しくは「初任給1,500万円が当たり前? 米雇用市場のバブル崩壊は時間の問題か?」をご覧ください。

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