今日の為替ウォーキング

今日の一言

成功した企業は、きまって誰かがかつて勇気ある決断をした - ピーター・ドラッカー

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 雇用統計の予測は、最近とくに難しくなったといわれる。理由のひとつは、コロナ後の消費者と企業の行動パターンが予測しにくくなっていること。もうひとつは、政府が雇用主から受け取る雇用データの回答が激減していることだ。

 米国の雇用市場は、就業者数が増えないなかで失業率だけが下がっていいます。なぜこのような不思議なことが起きているのかと言うと、理由は案外単純で、二つが「別々の調査」だから。非農業部門雇用者数は、「事業所調査(establishment survey)」のデータで、仕事に就いている人を集計している。一方、失業率は「家計調査(household survey)」から算出したもので、家計調査では、生産年齢人口(潜在的に仕事を持っている人口)に対する仕事に就いていない人の割合を数えているのだ。

 事業所調査は企業にアンケートを送り、主にオンラインで回答を受け取る。家計調査は電話や対面などによる調査が中心となっている。調査におけるサンプルの違いや計測方法が異なるために時折不一致が生じてしまうのだ。

 働き方の多様化やアンケート回答率の低下によって、雇用統計の予測が困難になっているだけではなく、精度も低下しているといわれる。雇用統計に限らず、聞き取りベースの経済指標は信頼性が低いとして、海外の投資家はビッグデータ解析を使うようになっている。

 スタートアップ企業(まだ世に出ていない新たなビジネスモデルを開発する企業)で働く若者たちに「仕事をしていますか?」と聞いたなら、もちろん「はい」と答える。しかし、雇用統計はそのような誕生間もない小さな企業の就業状況まで網羅していない。

 失業率と非農業部門雇用者数のギャップはこれからもしばらく続くだろう。しかし、それは大した問題ではない。それよりも、新しいビジネスで働く人が増えているとするならば、雇用統計に表れる数字で見えない力強さが存在するということで、こちらのほうが米経済にとってはるかに重要だ。

詳しくは「初任給1,500万円が当たり前? 米雇用市場のバブル崩壊は時間の問題か?」をご覧ください。

今週の 注目経済指標

出所:楽天証券作成