参議院選挙の結果よりも外部環境の変化に注目

 参議院選挙の結果で、日本株がどう動くのでしょうか。過去10回にわたる参議院選挙後6カ月のTOPIX(東証株価指数)の平均騰落率は+2.9%でした(Bloomberg)。

 特に、与党(自民党+公明党)が勝利した場合、与党としての政権基盤が固まり、大規模な経済政策を行いやすくなるとみられ、プラス要因と言えそうです。また、海外投資家を中心とする市場参加者が「政権基盤の安定≒長期政権」をイメージさせ株価に好材料となったこともあります。

 今回の参議院選挙で与党が勝利すると、政治日程として今後3年間は国政選挙がなく、安定して政策を実行できる点は、政権与党にとって追い風です。

 最近、岸田首相は「資産所得倍増プラン」など市場重視の姿勢をみせていることで「与党勝利は相場にプラス」との見方もあります。楽観的にみると、参議院選挙で与党が勝利した場合は(短期的にせよ)期待感が株価を上げる「ご祝儀相場」が示現する可能性はありそうです。

 逆に、与党が大幅に議席を減らす選挙結果となれば、海外投資家からマイナス評価を受けるリスクは否定できません。

 とは言うものの、国内の選挙情勢や材料よりも、現在は、インフレ高止まりと金融引き締めで景気後退観測が浮上している米国株式の動向や中国の景況感鈍化などが日本株に与える影響が大きくなっており、「選挙は買い」などという単純な経験則が通用しにくいとの見方も現実的です。

 図表3は、過去1年にわたる日経平均、ナスダック総合指数、香港ハンセン指数の推移を示したものです。米国株(ナスダック)と中国株(香港ハンセン)の調整により、日経平均の上値が抑えられてきた経緯が分かります。参院選の結果が、外部環境の影響を押しのけるほどのインパクトがあるかどうかが試されることになります。

<図表3>日経平均の上値を抑えてきたナスダックと香港株

(出所)Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2021年7月初~2022年7月6日)

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