株価下落でS&P500種指数の予想PERは15倍台に低下

 米国市場では、前代未聞の急速な利上げを受け、株式が一段の調整を余儀なくされました。ただ、ジョー・バイデン大統領が20日に「米国の景気後退は不可避ではない」と述べ株価は反発。悲観一色から抜け出す兆しもみられます。

 一方、金融引き締めに伴う流動性リスク悪化で、暗号資産(仮想通貨)市場ではビットコインが昨年11月9日の高値(6万7,734ドル)から約7割暴落して節目とされていた2万ドルを一時割り込みました。株式が暗号資産と明確に異なる特徴は、PER(株価収益率)などに象徴される「バリュエーション」が試算可能である点です。

 図表1は、S&P500種指数ベースの12カ月先予想EPS(1株当たり利益/市場予想平均)と予想PERの推移を示したもの。予想EPSで約18%の増益が見込まれている一方、株価下落で予想PERは15.5倍に低下しました(17日)。予想PERは2020年後半や2021年に20倍台前半で推移していた経緯があり、業績見通しを加味した現在の株価に相対的な値ごろ感は否めません。

 ジェローム・パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は昨年4月、米国株の過熱感について問われた際、(バブルではなく)「フロス(Froth=小さな泡)がみられる」と表現して注目されました。図表1は、年初来の株価下落でそのようなフロスが除去されてきた結果、株価がフェアバリュー(適正水準)に近づいてきたことを示しているとも言えそうです。

<図表1>S&P500種指数の予想PERは15倍台に低下

(出所)Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2015年初~2022年6月17日)