ヤマハ発動機(7272・東証プライム)

 創立からの基幹事業である二輪車事業が主力、船外機やボート・オートバイなどのマリン事業も手掛け、同事業は高い収益性を誇っています。ほか、表面実装機やドローンなどのロボティクス事業も手掛けています。

 180カ国超の国と地域で生産・販売を行っており、海外売上高比率が90%超と高いことが特徴として挙げられます。株主還元策としては、2022~2024年累計での総還元性向40%(自社株買いも含む)を目安としています。トヨタ自動車と提携関係にあります。

 2022年12月期第1四半期営業利益は401億円で前年同期比16.9%減益となっています。原材料費の上昇や物流混乱が継続する中、とくにプレミアムモデルの供給不足の影響が大きく、二輪車事業の収益が低迷しました。

 ただ、会社側では計画通りの推移としており、通期営業利益予想は1,900億円、前期比4.2%増を据え置いています。材料費上昇分の価格転嫁効果が第2四半期以降に効いてくるほか、為替の円安進行なども追い風になるようです。年間配当金は前期比横ばいの115円を計画しています。

 金融引き締め強化やインフレ高進に伴う米国の個人消費減速懸念はありますが、1円の変動が影響利益に与える影響額は、ドルが16億円、ユーロが9億円程度と試算されています。ここ3~4カ月でドル/円は20円程度の変動があり、収益インパクトは非常に大きいと考えられます。

 また、中期的な成長に関しても、医療・健康、農業分野などへの展開を計画していますが、既存事業においても、生活水準向上による新興国での二輪車普及や高付加価値化余地なども大きいと考えられます。

いすゞ自動車(7202・東証プライム)

 国内トラック大手の一角で、普通トラックのシェアは3割強の水準とみられています。タイを中心とした新興国の構成比が高く、中東、アフリカにおいても高いシェアを誇っています。

 また、ピックアップトラックも手掛け、タイで集中生産を行っています。2021年にはボルボ傘下のUDトラックスを連結子会社化しています。中期計画では2024年3月期営業利益2,500億円を目標としています。

 2022年3月期営業利益は1,872億円で前期比95.5%増益となっています。商用車、ピックアップトラックともに海外での販売が好調に推移し、為替の影響もプラスに寄与したもようです。年間配当金は前期比36円増の66円となっています。2023年3月期営業利益は2,000億円で同6.8%増の見通しとしています。

 アジアや北米における商用車販売の拡大、タイでのピックアップトラック販売拡大を見込んでいるほか、円安効果、値上げ効果も加わり、資材費や物流費大幅上昇の影響をカバーする計画です。年間配当金は前期並み66円を計画しています。

 2022年3月、日野自動車において排出ガスや燃費に関する不正が発覚しています。国土交通省によって該当車種の「型式指定の取消し処分」も下されました。足元では日野自動車の販売台数が大きく減少しており、当面は国内市場における同社のシェア上昇が想定されます。

 また、現在開発が進んでいる「エルフ」をベースとした「エルフEV」は2022年度量産開始を目指しており、その動向にも注目が集まります。

積水ハウス(1928・東証プライム)

 住宅メーカーのトップ企業です。2022年1月末現在、累積建築戸数は254万戸で世界ナンバー1の水準のようです。戸建・賃貸住宅事業が主力で、リフォームや不動産フィーなどストック型事業、マンションや都市開発事業なども手掛けています。

 米国や豪州、中国、シンガポールなどにも展開、現在は約3割が海外資産、国際ビジネスの構成比は15%程度となっています。米国ビルダー企業の買収を新たに発表しています。中期的な平均配当性向として40%以上を目指しています。

 2023年1月期第1四半期営業利益は878億円で前年同期比60.5%増益となりました。市場コンセンサスを300億円程度上回る水準になっています。国内外で住宅販売が好調に推移しているほか、海外において物件売却が進んだことも大きく貢献しました。通期計画は2,360億円、前期比2.5%増を据え置いています。

 今後物件売却の水準が低下したとしても、進捗率が37.2%に達していることで、上振れ余地は大きそうです。6月からは国内戸建住宅の販売価格引き上げも行っているようです。年間配当金は前期比4円増の94円を計画しています。

 金利上昇における米国での住宅需要の先行きは短期的なリスク要因となるでしょう。一方、国内では、比較的富裕層がメインターゲットになっているため、値上げ浸透に伴う収益力強化が想定されます。今期業績に関しては上振れ余地が大きいとみられ、配当性向40%とすれば、上振れに伴う増配も期待できるでしょう。