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インバウンド消費4兆円回復までは遠い

 インバウンド(Inbound)とは「入ってくる」という意味で、海外から日本を訪れる外国人によって生み出される国内消費を「インバウンド消費」といいます。

 日本を訪れる外国人旅行者数は2013年に初めて1,000万人を突破、政府による「ビジット・ジャパン・キャンペーン」効果もあり2014年に1,341万人に達し、コロナ禍前の2019年には7年連続で過去最高を更新、3,188万人に上りました(観光庁「観光の動向」より)。

 しかし、その後の世界的な新型コロナウイルス感染拡大により、2020年には412万人まで落ち込みました。国・地域別にみると、アジアからの訪日外国人旅行者数が332万人で、全体の80.6%を占めました。

 中国が107万人と最も多く、台湾(69万人)、韓国(49万人)と続き、この3カ国・地域だけで全体の63%を占めています。

 ASEAN(東南アジア諸国連合)の主要6カ国(タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナム)からの訪日外国人旅行者数は69万人、北米からは27万人(うち米国が22万人)、欧州からは24万人、オーストラリアは14万人でした。

 日本政府は新型コロナウイルスの水際対策を6月1日から緩和し、1日あたりの入国者数の上限を現在の1万人から2万人に引き上げるとしています。

 これまで入国者全員に実施してきた入国時の検査について、新型コロナが流入するリスクの低い国・地域からの入国者には免除する方針です。こうなると気になるのが「インバウンド消費額」です。近年は以下のように推移していました。

  • 2016年 3兆7,476 億円
  • 2017年 4兆4,162 億円
  • 2018年 4兆5,189 億円
  • 2019年 4兆8,135 億円
  • 2020年  7,446 億円(観光庁「訪日外国人消費動向調査」より)

 大まかには「コロナ前は4兆円超」ということになります。目下最大の焦点はこのインバウンド消費額がどこまで回復するかということになります。ただ、日本政府が水際対策を緩和したとしても現状は「1日2万人」が上限です。

 これを基準に考えると、この先1年で約730万人となり2019年の3,188万人には遠く及びません。もちろんさらに緩和されることも想定されるものの、コロナ前のレベルまで回復するには、人数・額ともまだ遠い道のりだと言わざるを得ません。慎重な見方をするとそうなり、多分、そのような見解が主力となっていくでしょう。