アクティブファンドはインデックスファンドよりリスクが高いのか?
――続いて二つ目のよくある勘違いは、「アクティブファンドはインデックスファンドよりもリスクが大きい」というものです。お客さまからも、このようなご質問を頂いております。
「正直リスクが大きいネガティブなイメージもあるのですが、上手に運用するコツは何でしょうか?」
「アクティブファンドと聞くだけで、リスクが大幅に上がるような気がしてしまいます」
アクティブファンドはインデックスファンドよりもリスクが高いというのは、本当なのでしょうか?
冨田 先ほどのグラフの表にあるリスク・リターンでは、「グローバル・フランチャイズ戦略」のリスクは低く、投資効率が高いということが分かります。持続的成長が期待されるプレミアム企業を厳選して集中投資することは、実はインデックス投資よりも高い投資効率が得られるのです。
もう一つ、アクティブファンドに投資する意義として重要なことを話しておきたいのですが、それはESG(環境・社会・企業統治)投資についてです。今や世界の潮流となっているESGは、ESG関連ファンドとうたわれていなくとも、投資において考慮する必要性が問われています。
このESGの潮流もあり、これに合わないものは排除するという風潮が強まっている一方で、インデックス投資では業績などは判断されず、指数構成銘柄すべてに投資されるということになっています。
アクティブはそうしたパッシブの弊害を是正する役割があると思っています。確かに環境や人権などを守らない企業は持続可能ではないということは明らかです。しかし企業が存続しているのは、人々が欲するモノやサービスを作りだしているからであり、そのニーズは健康に悪かろうが何だろうが、必要な人には必要なものなのです。
し好品とはそういうものであり、タバコやアルコール類、油や脂肪分がたくさん入ったファストフード、砂糖のいっぱい入った飲料などは、健康には良くなくても喜んで消費するニーズがあるため、人々はお金を払います。そして企業には売り上げが立ち、そこにキャッシュフローが生まれます。
そしてマーケットは経済を反映します。その経済は人間が動かしているもので、人間が持つ欲求に応えるモノやサービスは、景気がどうなろうと受け入れられます。そうして、企業は継続的に売り上げが立つようになっています。
世の中では、パッシブ投資やスマートベータ投資の勢力が拡大していますが、必要以上に売られ過ぎた「アンチESG銘柄」を拾っていく機能や役割がアクティブファンドにはあります。アクティブファンドはこうした銘柄群を丹念に調べ、インデックスファンドでは見落とされている投資機会を見つけに行きます。
例えば、当ファンドで組み入れ上位のフィリップモリスですが、たばこ会社全般の特徴として、喫煙者から継続的な売り上げが期待できること、価格決定力が強いこと、参入障壁が高いこと、そして各国とも広告規制があるので積極的な販促活動ができないという特徴があります。
つまり販売のためのコストはかかりませんが、コンビニに行けば分かるように、タバコを買う人は一定数いるために売り上げは立ちます。
このインデックス投資にはない機能が、アクティブファンドが社会的に存在している理由だと思います。運用者の考えがポートフォリオに反映され、個性があるのがアクティブファンドです。リサーチコストはかかりますが、それはESGという世の中に求められる行動規範や投資のより所となる考え方を考慮するためにも、必要なものだと思います。
アクティブファンドのコストは何に支払われている?
――続いて三つ目の勘違いは、コストに関するものです。
「パフォーマンスがいくら良くても、コストが差し引かれてマイナスになるのではないでしょうか?」
というご質問をいただいております。基準価額は基本的にコスト控除後の価格ですので、解約時の手数料などが無い限りは、原則そこから差し引かれるものはない、ということをまずお伝えしておきたいと思います。
そのうえで冨田さんにお聞きしたいのは、アクティブファンドのコストは一体何の対価なのでしょうか?
冨田 さきほどESGのためのリサーチのコストということを述べましたが、もちろん企業業績などファンダメンタルズ分析するためのリサーチコストでもあります。
運用チームのメンバーが投資対象企業と面談したり、エンゲージメントを継続的に行って企業価値を向上させたりと、時間と労力をかけています。アクティブファンドはこうした銘柄群を丹念に調べ、市場で見落とされている投資機会を見つけに行きます。こうしたミスプライシングな銘柄を見つける機能は、市場のゆがみを是正することにもつながります。
こうした運用に必要なコストが信託報酬というものです。
また、アクティブファンドがインデックスファンドと決定的に異なる点は、パッシブ投資は業績を考えないということです。インデックスファンドはリサーチコストがかからないので、その分信託報酬が安く抑えられています。
しかし、インデックスでは、業績が良いのに市場のセンチメントで売られ過ぎて大きく上昇する可能性のある銘柄へ投資をすることはありません。アクティブファンドは、そういった銘柄を見つけにいきます。
そのようなリサーチの対価としてのコストであると捉えていただけると良いかと思います。
アクティブファンドは積立ではなくスポットで買うべき?
――最後に一つご質問させていただきます。
「インデックスは積み立て、アクティブはスポット買い」のようなイメージをお持ちのお客さまがいらっしゃるのですが、アクティブファンドも株と同じように基準価額は下がったときに買うのが良いのでしょうか。冨田さんが運用を担当されているファンドについてはいかがでしょうか?
(図3)グローバル・フランチャイズの年次リターン
冨田 こちらにあるように、当戦略の運用開始から26年間で、年間のリターンがマイナスになったのは、今年の現時点までを含めて3回のみです。派手さこそないですが、安定して毎年リターンを出しています。そのため、タイミングを気にせずスポット・積立両方で活用できると思っております。
また、「キャプチャーレシオ」という、マーケットが上昇した時、下落した時の追随率においても、この戦略は良好です。
例えば過去マイナスになった2008年と2018年は、市場よりも下落率が抑えられています。ファンド内でのキャッシュ比率(現金保有率)が高ければ、他のアクティブファンドでも限定的な下落率になりますが、この戦略はフルインベストメント(=ファンド内の資金を全て投資対象資産に投資すること)です。
投資している企業に、生活必需品やヘルスケアなど比較的ディフェンシブな業種が多いことに加え、現在業種ではトップの情報技術の銘柄については、この戦略のコンセプトに沿うような安定的なキャッシュフローを生み出すテクノロジー企業を多く組み入れています。そのため下げの局面でも強いです。
また、その下落した翌年の反発局面でもマーケット以上に上昇しています。これは継続的な売り上げによる安定した企業業績が評価されており、業績の回復が早いこと(レジリアント)を反映して買われやすいことが背景にあります。
よって、このように基準価額が安定して推移するようなアクティブファンドの場合は、積み立てだけではなく、スポットでの一括購入にも適しているのではないかと思います。
――アクティブファンドのよくある勘違いについて分かりやすく解説いただき、よく理解できました。
インデックスファンドよりも下落を抑えることが期待できるアクティブファンドに興味がある!という方は、ぜひこちらをチェックしてみてください。
▼冨田さんが運用しているファンド
モルガン・スタンレー グローバル・プレミアム株式オープン(為替ヘッジなし)
▼ご紹介ファンドを対象としたキャンペーンも実施中
ファンド選び応援キャンペーン(~2022年5月13日(金)まで)
「モルガン・スタンレー グローバル・プレミアム株式オープン(為替ヘッジなし)」のリスクとお客さまにご負担いただく費用について