インフレヘッジに適したETFはあるのか?

 インフレは米国だけの問題にとどまらない。現在、世界の食料価格が過去最高のペースで上昇している。FAO(国連食糧農業機関)が算出している世界食料価格指数は3月に13%上昇し、食料価格は過去最高へと押し上げられている。

●FAO食料価格指数

出所:FAO

 今後懸念されるのは、「アラブの春」の再燃だ。2010年から2011年にかけて連鎖的に起きた「アラブの春」では、中東・北アフリカの地域の多くで人々の命が犠牲になる革命が起き、前例のない地政学的変化をもたらした。

 食糧をめぐる世界的な抗議が再び世界のあちこちで勃発し、世界中の不安定な、またはおそらく安定した政府であってもインフレを抑えることができない場合、革命が起きる可能性がある。市民革命の発端は常に食料価格の高騰を背景とした国民の怒りである。

小麦価格はGFCやアラブの春の高値を上回っている

出所:ゼロヘッジ

 インフレリスクに対するヘッジ手段として筆者がウオッチしているのが「物価連動国債ETF(上場投資信託)」である。インフレ連動債(TIPS)と呼ばれるETFで、インフレ率に応じて元本が調整される仕組みとなっている。利率は変動しないが、物価に応じて元本が調整されるため、インフレが起きたとしても実質的な価値が低下しない債券のETFだ。

TIPSのパフォーマンス

出所:ブラックロックHP

 2003年12月に設定され、直近の純資産総額は328億ドル(4月14日時点)まで膨らんでいる。中期的なインフレによる影響が懸念される中では、ポートフォリオに組み入れておきたいETFの一つである。