毎週金曜日午後掲載
本レポートに掲載した銘柄:TSMC(TSM、NYSE ADR)、インテル(INTC、NASDAQ)、AMD(AMD、NASDAQ)、エヌビディア(NVDA、NASDAQ)、アップル(AAPL、NASDAQ)、マイクロソフト(MSFT、NASDAQ)、メタ・プラットフォームズ(FB、NASDAQ)、テスラ(TSLA、NASDAQ)、任天堂(7974)、ソニーグループ(6758)、ロッキード・マーチン(LMT、NYSE)、レイセオン・テクノロジーズ(RTX、NYSE)、ノースロップ・グラマン(NOC、NYSE)、ゼネラル・ダイナミクス(GD、NYSE)
1.2022年1-3月期決算発表シーズンを前に、金融環境を確認したい
2022年4月14日(木)のTSMCの、2022年1-3月期決算発表を皮切りに、2022年1-3月期決算発表シーズンが始まります。今回は、これから始まる決算発表シーズンの見所を考えたいと思います。
まず、金融市場の動きから。3月15~16日、FRB(米連邦準備制度理事会)はFOMC(米連邦公開市場委員会)を開催しました。16日のFOMCでは、事前に予告されたとおり0.25%の政策金利引き上げに踏み切りました。2018年12月以来の引き上げです。また、3月16日のFOMCでは、年内に今回分も合わせて計7回、2023年に3~4回利上げし、2023年末には政策金利が長期的な目安となる2.4%を上回るという道筋も示しました。
ここでいったん利上げは株価に織り込まれたと思われました。実際、SOX指数(フィラデルフィア半導体指数)は、3月14日に大底を付け、その後は上昇に転じました。
しかし、利上げが株式市場に織り込まれたと考えたのは時期尚早だったようです。4月5日、FRBのブレイナード理事は、ミネアポリス連銀のイベントで、QT(量的引き締め)と呼ばれる資産圧縮について「5月にも急ピッチで始める」と発言しました。FRBが資産圧縮を進めた2017~2019年よりも経済の回復が急速に進んでおり、当時と比べて、かなり急速な圧縮を想定している、としました。足元のインフレについては、賃金上昇が物価の上昇に追いついておらず、家計の購買力が低下しており、特に低所得層への影響が大きいと指摘しました。
ブレイナード氏のこの発言を受けて、アメリカの長期金利はさらに上昇しました。10年国債利回りは、4月4日の2.4%台から4月5日は2.5%台へ、4月6日は2.6%台へ上昇しました。これに伴いSOX指数は、3月14日の底値3,047.50ドル(終値、以下同様)から3月29日に戻り高値3,625.58ドルを付けた後、軟化していましたが、さらに4月6日3,193.96ドルまで下がりました。ただし、4月7日は3,197.44ドルへ小幅反発しました。
今後のFOMCの開催スケジュールとアメリカ消費者物価指数の発表スケジュールは表1の通りです。5月のFOMCから毎月利上げの可能性がありますが、従来のように0.25%幅の利上げだけでなく、0.50%幅の利上げがあり得る状況になっています。
この場合、半導体関連やITのようなハイテクグロース株の業績変化率には、一層大きなもの、あるいは今後も安定的に業績拡大が期待できるという見方が必要になると思われます。その意味では、ハイテクグロース株の株価に利上げが織り込まれるには時間がかかる可能性もあります。