今日の為替ウォーキング

今日の一言

人が持てる力を放棄する最もありがちな方法は、自分に何の力もないと思いこみあきらめてしまうことだ

Who Can It Be Now?

 豪ドルに注目が集まっている

 RBA(豪準備銀行)は今週、定例会合を開き政策金利0.10%に据え置くことを決定した。日銀を除く世界の主要中央銀行が金融引き締めに動くなかで、同じ資源輸出国のカナダやノルウェーがすでに利上げサイクルに入り、隣国のNZではRBNZ(NZ準備銀行)がすでに3会合連続で利上げしていることに比べると、RBAは出遅れている。

 しかし、慎重だったRBAにもいよいよ転換期がやってきた。その根拠となっているのが、会合後に公表されたRBAの声明文から、「辛抱強く」という文言が削除されていたことだ。この「辛抱強く(patient)」は海外の中央銀行が頻繁に使うキーワードで、この文言が声明文に入っている限りは、金融政策に「変更なし」という意味になる。中央銀行が、状況が変わるまで「辛抱強く」待っている状態だ。(ちなみに、利上げだけではなく利下げの場合にも使われる)

 したがって、今回このキーワードがRBAの声明文から削除されていたということは、政策変更を近々実施するというメッセージになる。

 もうひとつ指摘されているのが「時制」だ。利上げの条件として、RBAこれまで、「金利を引き上げる前に、インフレ率が2~3%の範囲内で持続的に推移しているという実際の証拠を確認することを望んでいる(wants to see)」と述べていたが、今回の声明文では「望んできた(has wanted to see)」と現在完了形に変わっていた。つまり証拠を確認できたということになる。

 現在の予想では、RBAは6月7日の会合で0.15ポイント利上げして政策金利を0.25%にする。続けて0.25ポイントの利上げを3回行い、2022年の政策金利を1.00%まで引き上げる。さらに2023年も2回の利上げを行い、1年後の政策金利は1.25%になっているというのが、マーケットの予想だ。利上げスタートは5月から、最終着地レートは2.00%というより強気の予想も出ている。

 ウクライナ戦争の影響による資源価格の高止まりは当面続くと考えられ,豪の交易条件(貿易での稼ぎやすさ)は上向いている。「資源高」に加えて「高金利」が継続すると考えるなら,豪ドル/円の上昇余地はまだありそうだ。

今週の 重要経済指標

出所:楽天証券作成