3月雇用統計の予想
BLSが4月1日に発表する3月の雇用統計は、市場予想によると、NFPは+48.0万人で失業率は3.7%。平均労働賃金は、前月比+0.4%、前年比+5.5%の予想となっています。昨年1月から今年2月までの雇用者増加数の平均は、+52.7万人/月になりました。
労働力の雇用市場への復帰は、企業が求めるよりもゆっくりしたペースが続いています。仕事がないわけではない。むしろその逆で、働く人がいないのです。米ウォルマートは、今年1月までの10万人採用に加えて、新たに4月末までに追加で5万人を採用しようとしています。すでに労働力が不足しているのに、さらに不足する方向に進んでいます。
一方で平均労働賃金は、今後も上昇を続けるとの予想が増えています。完全な売り手市場となっている米国の雇用市場で労働者を確保するためには、他者より給料やボーナスを多く支払わなくてはいけない。
解雇すると次に見つけるのが難しいので、たとえ仕事がなくても人材を手元に置いておく会社も増えているようです。その意味では「雇用が増えた」というよりも「解雇が減った」と捉えた方がいいのかもしれません。
FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策は、雇用安定よりも物価安定を重視する政策に完全に切り替わっているので、失業率やNFPが多少悪化したところで、利上げを中止するということにはなりません。ウクライナ戦争も、その影響がエネルギー価格の高騰という形で表れている限り、利上げを止める材料ではありません。
パウエル議長は、雇用促進とインフレ対策のトレードオフ(失業率を低めようとすれば物価の上昇圧力が強まり、物価を安定させようとすれば失業率が高まる)において、インフレが可処分所得を圧迫し、政策が支援すべき人々にダメージを与えているかどうかが、FRBの判断基準だと述べています。
その結果、米国経済はもう十分に回復したので、これ以上流動性を増やすのは適当ではないとの結論に至ったのです。