2月雇用統計のレビュー
BLSが3月4日に発表した2月雇用統計では、NFPが+67.8万人となり、市場予想(+40.0万人)を大きく上回りました。さらに前回1月のNFPも+46.7万人から+48.1万人に上方修正。民間版雇用統計のADP雇用データの2月は+47.5万人でしたが、前月分は▲30.1万人から+50.9万人に大幅に上方修正されています。
多くの業種が雇用を拡大するなかで、特にレジャー・サービス業、ヘルスケア、運輸業の採用が目立ちました。米雇用市場にオミクロン株感染拡大による影響はほとんど見られません。
失業率は、前月の4.0%から3.8%へ低下。失業率はコロナ流行後の2020年4月に14.7%まで悪化しましたが、今や2019年9月に記録した過去最低水準の3.5%に迫る勢いです。
平均労働賃金は、前月比+0.0%で横ばい、前年比も+5.1%と予想を下回りました。飲食業などに携わる比較的低賃金の従業員が大量に労働市場に復帰したことで、賃金の「平均値」が下がったことが理由。
あくまで統計上のことで、労働賃金が下がったというよりも採用が急増しているというプラス面の方が大きい。アトランタ連邦準備銀行による賃金追跡調査によると、労働賃金は過去最大の上昇率となっています。平均週間労働時間の上昇は、新規採用が困難で従業員の残業という形でしわ寄せされていることを示唆しています。
2月の労働参加率は、62.3%へわずかに上昇。労働参加率とは16歳以上の就業可能な生産年齢人口に占める労働力人口のこと。労働参加率はコロナ禍前の2020年2月(63.4%)よりも1.1ポイント低く、いまだにその差を埋められていません。
しかし、プライムエイジと呼ばれる25~54歳の働き盛り世代の労働参加率はコロナ禍前の83%には及ばないまでも82.0%から82.2%へ力強く伸びています。