今日の為替ウォーキング
今日の一言
夢を持つということは、つまるところ、計画を立てるという行為の一種である
Born Under Punches
先週発表された米2月雇用統計は、NFP(非農業部門雇用者数)は市場予想を超える強い結果となり、失業率は3.8%まで低下した。
一方で、中小企業の景気指数であるNFIB中小企業楽観指数は下落している。今年の安値をつけたばかりではなく、新型コロナの感染が拡大した2020年3月以来の最低水準となった。中小企業の多くは、「高インフレが最大の懸念」と回答している。
今夜は注目の米CPI(消費者物価指数)の発表がある。2月CPIの予想は、前月比+0.8%、前年比+7.9%。またコア指数は、前月比+0.5%、前年比+6.4%に大幅上昇する予想。下げ止まる兆候はない。
前回1月もCPIは予想を上回ったが、その原因は中古車価格の上昇だ。今後は、さらにエネルギー価格のもインフレ率の強い押し上げ要因として加わる。NY原油先物は今週13年8カ月ぶりの高値をつけた。
FRB(米連邦準備制度理事会)が、来週のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利上げするのは確実だ。する、しないではなく、政策金利はどこまで高くなるかということが問題になっている。最終着地レートは2.00%超えとの見方も増えるなかで、来週のドットチャートに注目が集まりそうだ。また、今夜のCPIが予想を大きく上回る結果となれば、来週のFOMCの0.5%利上げ観測が再び強まることも考えられる。
米CPI(消費者物価指数)の上昇の大きな原因は、米国の中古車価格の高騰だ。マンハイム社は、米国内の約80ヵ所の拠点から年間約600万台の自動車を販売する米国最大の自動車オークション会社で、ライブ・オークションとデジタル・オークションの両方を運営しており、入札者はリアルタイムで参加することができる。そのマンハイム社が出している、中古車価格指数は、前年比では45%の大幅上昇となっている。
一時期の異常な高騰は収まったが、価格が下がったといえるにはまだ時間がかかりそうだ。マンハイムのオークションの動向は、数カ月の遅れをもって中古車小売価格に反映されるので、CPIは当面高止まりが続く可能性が高い。
インフレはグローバルではなく、ローカルな問題といわれる。公共交通機関が発達している日本では、中古車価格が急上昇したところでインフレの実感はわかない。日本の若者のインフレのバロメーターは、中古車ではなくスマホ料金だろう。だとすれば、今の日本はまだまだデフレかもしれない。
しかし、これからは違う。世界中で食料品がどんどん高くなっているのだ。ドライブをしない人は大勢いても、食事をしない人はいない。先進国の食料品価格は、農業生産国のエネルギー価格と労働コストが大部分を占めるなかで、石油価格は大幅に上昇し、労働賃金も高くなっている。ロシアとウクライナは、世界のヒマワリ油輸出の80%、小麦輸出の30%を占めるが、これらの食料が物理的あるいは政治的理由で供給が滞るリスクが高まっている。食料品インフレは、ローカルではなくグローバルな問題となっている。