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午後の米公定歩合引き上げとドル相場
石原 順
外為市場アウトルック
リーマンショックの影響による景気回復に向けた歳出の増大が、世界中で財政赤字の拡大を招いた。政治家は財政再建をしなければならず、その結果、景気対策は中央銀行に押し付けられることにな…

午後の米公定歩合引き上げとドル相場

2010/2/19
数社の海外ファンドの運用を担当する現役ファンドマネージャーとして活躍する石原順氏による外国為替市場レポート「外為市場アウトルック」。お客様の投資のヒントにお役立てください。
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本日、日本時間の午前6時半に米公定歩合の引き上げ(公定歩合を0.25ポイント引き上げ0.75%にした)があったが、この時間帯に発表されることは想像の埒外だったので、不意打ちである。公定歩合の引き上げ自体は、金融機関救済のためのジャブジャブ政策で通常よりFFレート(政策金利)とのスプレッドを縮小していたのを、正常に戻しただけである。日本の公定歩合と違って、米国の公定歩合はいわゆる“ペナルティー金利”であり、マーケットで資金調達できない金融機関のラストリゾートとなっている金利である。(金融機関のFRB窓口貸し出しへの依存度は、市場の流動性改善に伴い低下している。17日の窓口貸し出し残高は141億ドルと、約1年前の651億ドルを大きく下回っている=ブルームバーグ)したがって、FFレート(政策金利)の引き上げのようなインパクトはないが、米国にしては発表された時間が予想外で、タイミング的にはサプライズと言えるだろう。

FRBは声明で、「これらの変更はFRBの融資手段の一段の正常化を意図している」と表明し、「家計と企業にとって金融条件の引き締めにつながるとは予想されない。経済と金融政策の見通し変更を示唆するものではない」と述べているが、筆者の友人の金利のトレーダーやブローカー達は(ポジショントークのバイアスが強いものの)、「米国が本格的な出口戦略に着手した」と騒いでいる。

米公定歩合引き上げ後、「これで米国も利上げか?」とマーケットは先走ったが、「年内利上げの確率高いとの市場観測は行き過ぎ」「現在の政策スタンス、来年も継続する可能性の方が高い」(ブラード・セントルイス連銀総裁)・「今回の公定歩合の引き上げ、金融政策の変更を意味するものではない」(デュークFRB理事)・「公定歩合の引き上げ、政策金利の変更が差し迫っているというシグナルではない」(ロックハート・アトランタ連銀総裁)など、早期の政策変更期待を否定する報道の連続で、現在は一過性の動きとなっている。

先週のレポートで、「バーナンキFRB議長の議会証言原稿で明らかになったのは、FRBが現在3兆ドルあるMMFを800億ドル程度減らしたいと思っていることだ。バーナンキFRB議長は将来的に市場から1兆ドル程度資金を吸収したいと考えているようである。流動性を吸収するには短期金利(FFレート)を上げる必要があるが、FRBはまず準備預金吸収手段を試すようである。あまり株にはよい話ではない。筆者は米国の出口戦略は遅れると思っているが、米10年債だけでなく、今後は短期金利の動きにも注意が必要だろう」と書いたが、現在、米国の金利市場では金利上昇やボラティリティ(変動率)の上昇に賭けるポジションをとっているファンド勢が多い。これらの連中は(当局のコメントに関係なく)、公定歩合引き上げを出口政策に向けての第一歩であるとして、米債売り(金利上昇)とドル買いを仕掛けてくると思われる。

昨日の相場は、米長期金利が3.8012%に上昇したことで、ドル金利と連動性の高いドル/円相場は92円07銭まで上昇した。

米長期金利とドル/円


(出所:石原順)

昨年12月から筆者が行ってきた2月までのドル/円の押し目買い戦略は、2010年はまずまず成功したと言えるだろう。

ドル/円(月足) 4Qの大幅円高と1Qのリバウンド


(出所:石原順)

さて、問題はここからの動きがどうなるか? である。ユーロ/ドルが20カ月移動平均を割り込んで以来、筆者の主要取引通貨はユーロ/ドルとなっているが、日足の26日標準偏差ボラティリティと14日ADXはピークアウト(天井をつけた可能性がある)を示唆しており、ここからは日足ベースで大きなレンジでのボックス相場となる可能性がある。もちろん、目先は1.35を割り込んでユーロ売り優勢の状況だが、このままADXが下がっていくようであれば、リバウンドにも気をつける必要があろう。

ユーロ/ドル(月足)20カ月移動平均(左)

ユーロ/ドル(日足)26日標準偏差ボラティリティと14日ADX(右)


(出所:石原順)

ユーロ/ドル(1時間足)21時間ボリンジャーバンド1σと14時間ADX

(ユーロ/ドルは現在、最もよく動く通貨なので、1時間足でもトレンドは発生しやすい)


(出所:石原順)

ドル/円相場は、日足の26日標準偏差ボラティリティと14日ADXが調整中(方向性がない)で、2月17日までは昼行灯相場となっていた。1時間足でもランダムな相場となっており、ほとんどの順張り取引は失敗となっている。ただし、昨日から26日標準偏差ボラティリティと14日ADXに底打ちの可能性が出てきており、ここから円安トレンドが発生するかに注目したい。

ドル/円(月足)20カ月移動平均(左)

ドル/円(日足)26日標準偏差ボラティリティと14日ADX(右)


(出所:石原順)

ドル/円(1時間足)21時間ボリンジャーバンド1σと14時間ADX


(出所:石原順)

来週は過去最大となる総額1260億ドル規模の米国債入札が予定されている。ここで米長期金利が上昇すれば、ドル買いトレンドは自己強化プロセスに入るだろう。今週、ドル/円相場は抵抗帯である13-21日移動平均バンドをブレイクしており、日足の平均足もよい型になっている。1月8日高値93円77銭をトライする可能性はあるのではないだろうか?
いずれにせよ、現在のドル相場の行方は、米国の金利動向が全てである。

ドル/円(日足)13-21日移動平均バンド(上段)と平均足(下段)


(出所:楽天証券マーケットスピード)

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