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米国の長期金利がドル相場を決める
石原 順
外為市場アウトルック
リーマンショックの影響による景気回復に向けた歳出の増大が、世界中で財政赤字の拡大を招いた。政治家は財政再建をしなければならず、その結果、景気対策は中央銀行に押し付けられることにな…

米国の長期金利がドル相場を決める

2009/12/18
数社の海外ファンドの運用を担当する現役ファンドマネージャーとして活躍する石原順氏による外国為替市場レポート「外為市場アウトルック」。お客様の投資のヒントにお役立てください。
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相場の実践はいつもむずかしい。しかし、最近の相場を動かすロジックは単純である。足下の相場は概ね2つの構造と流れを持っている。

(1)米国の長期金利がドル相場を決める。

米長期(10年国債)金利とドル/円(日足)


(出所:石原順)

(2)ドル相場が上昇すると、高リスク資産が売られる。

ドルインデックス(日足)


(出所:ストックチャートドットコム)

ゴールド(日足)


(出所:ストックチャートドットコム)

筆者が現在、外為市場で実践しているのは、

(1)日足ベースではドル/円の逆張り(ドルの押し目買い)

ドル/円(月足)
60カ月移動平均と-20%乖離


(出所:石原順)

(2)1時間足ベースでは、ボリンジャーバンド1σ抜けの順張り

ドル/円(1時間足)
21時間ボリンジャーバンド1σと14時間ADX


(出所:石原順)

ユーロ/ドル(1時間足)
21時間ボリンジャーバンド1σと14時間ADX


(出所:石原順)

の2つである。

相場を観る上で最も重視している指標は、米10年国債の金利である。

米長期金利の上昇によってドルキャリーの巻き戻しが起こり、現在、ファンドマネーの動向に変化が生じていることを先週のレポートで述べたが、米長期金利の大きな上昇は今後の相場環境を激変させる可能性があるので注視したい。

12月16日のFOMC(連邦公開市場委員会)の声明文は一部で噂された文言の変更がなく、「FF金利を長期間(for an extended period)」異例に低水準とすることが正当化される可能性が高いと引き続き予想する」との見方を示した。一方で、FOMCはMBS・エージェンシー債の購入を2010年第1四半期末までに完了し、その他の“ジャブジャブ”の流動性対策のほとんどを来年の2月までに終了する方針である。FOMCが「出口政策の準備をしていますよ」と言っているので、米長期国債バブルが収縮しているのが現在の状況だ。

FRBのバランスシート

急拡大したFRBのバランスシートも今後はおだやかな収縮へ(来年2月までに流動性措置を解除)


(出所:クリーブランド連銀、石原順)

2009年のバブル相場は2009年3月18日のFOMCで、FRBが向こう半年間で3,000億ドルの国債を買い取る計画を決定したところからスタートしている。米国政府がドルをどんどん印刷してくれたおかげで金融市場がジャブジャブになり、現在のバブル相場は成り立っているのである。2009年のドル安・株高・資源高はこの結果である。

このジャブジャブ政策はとりあえず来年2月に終わるので、しばらくはドルの大量印刷が行われない。(将来、復活する可能性はある)現在、ドルの大増刷という大きなドル安の要因がなくなるため、投機筋がいったんドルキャリーの買い戻しに動いているが、世界のバブルマネーの供給先である「米国の出口政策」は、「2010年の世界経済にとって最大のリスク」となろう。

では、今すぐバブル相場が崩壊するかというと、事はそう単純ではない。中央銀行に失敗は許されないため、出口政策は簡単には行われないからだ。欧米各国(日本に出口はない?)が石橋を叩いて出口政策を行うには、最低でも次の3つの条件のいずれかを満たす必要がある。

  • (1) 雇用と個人消費の回復
  • (2) 商業用不動産市場の底入れ
  • (3) 新たなバブルの確認

現在、(1)と(2)が確認できず、(3)のバブルの定義もあやふやである。市場は来年8月までの米国の利上げ(0.25%)を既に織り込んでいるが、米国の出口戦略は2010年の後半以降になるのではないかと筆者は考えている。

いずれにせよ、相場は実践である。あまりむずかしいことを考えても仕方がない。現在の米長期金利の上昇が米国の景気回復(良い金利上昇)によるものか、インフレ懸念(悪い金利上昇)なのかは意見が分かれるが、米長期金利が上がればドルは上昇するだろう。今は米国の長期金利だけをみていればよいと思われる。

昨日、12月17日の外為市場ではユーロ/ドルが投機筋にストップロス・ハンティングされ、1.4480のストップロスを付けて下げが加速するなど投機色が強まっている。クリスマス休暇で流動性が枯渇するなか、投機筋やモデル系ファンドの売買で大きく動くので、この時期は注意が必要だ。

ユーロ/ドル(左)とポンド/ドル(右)の日足

上段:14日ADX(方向性指数)
下段:移動平均リボン(市場参加者の1~3カ月のコスト)


(出所:石原順)

ドル全面高になると、昨日のNYダウ1.27%安、ゴールド3%安などに見られるように、投資マネーがリスク資産を「全部売る傾向」が強くなる。「米金利とドル」の動向は世界のバブル相場の持続をみるうえでの「指標銘柄」なのである。

ここからはクリスマス休暇本番でかなり流動性が落ちてくる。投資家は1時間足などの短期の時間枠で、有利な局面だけを売買するのがよいだろう。有利な局面とは、(1)移動平均線(およびボリンジャーバンド)に上下いずれかの傾きある、(2)相場がボリンジャーバンドの1σ(シグマ)を飛び出している、という2点の条件を満たしている局面である。より慎重な投資家は、ADXの上昇時だけエントリーするのが良いだろう。そこには収益機会がある。

ドル/円(1時間足)
21時間ボリンジャーバンド1σ(緑のライン)の飛び出し局面


(出所:楽天証券 マーケットスピードVer8.2)

ユーロ/ドル(1時間足)
21時間ボリンジャーバンド1σ(緑のライン)の飛び出し局面


(出所:楽天証券 マーケットスピードVer8.2)

ドル/円(左)とユーロ/ドル(右)の1時間足
21時間ボリンジャーバンド1σの飛び出し局面と14時間ADX


(出所:楽天証券 WEBログイン)

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