今日の為替ウォーキング
今日の一言
勝ち残るには、損失の痛みに負けないメンタルを作り上げることが必要である
Man In The Mirror
ほんの数カ月前のパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は「緩和縮小と利上げは別」だと述べ、利上げに消極的なスタンスでした。それが、今では緩和縮小を倍速ペースで進め、利上げは事実化。バランスシート縮小に着手するまで「タカ派」に変身しました。
マーケットは、米利上げを、2022年に6回x0.25パーセント、2023年に2回x0.25パーセントまで織り込んでいます。過去40年間経験してきた利上げサイクルとは、スピードが全く異なります。FRBは今年すべての会合で利上げする可能性さえ否定していない。市場が利上げに対応して上手く機能している限り、手綱を緩めるつもりはないようです。
FRBの金融政策は、雇用安定よりも物価安定(インフレ抑制)を重視する方向に完全に切り替りました。完全雇用をほぼ達成したというのがFRBの判断なので、3月FOMC(米連邦公開市場委員会)までにあと1回雇用統計の発表がありますが、失業率や就業者数が多少悪化したところで単なるノイズとして片付けられるでしょう。利上げを延期することはない。
雇用促進とインフレ対策のトレードオフ(失業率を低めようとすれば物価の上昇圧力が強まり、物価を安定させようとすれば失業率が高まる)において、インフレが可処分所得を圧迫し、政策が支援すべき人々にダメージを与えているかどうかが、FRBの判断基準。米国経済はもう十分に回復したので、これ以上流動性を増やすのは適当ではないとの結論に至ったのです。
新型コロナ下の経済は、FRBでも予測できない。中央銀行が何を話すかよりも、何をしたかに注目するべきです。それは利上げ方向だけではなく、逆の場合もありえるということです。FRBが現在予想するスピードと規模で利上げを続けたなら、米経済は確実にリセッション(景気後退)に陥るといわれています。利上げをするといいながら、実際は利上げしないというケースも想定したいです。