ヒューリック(3003・東証1部)

▼どんな銘柄?

 東京23区を中心としたオフィス・商業ビル・ホテル・老人ホームなどの「不動産賃貸」を中核事業としています。東証1部上場の不動産セクター内で、経常利益の水準はベスト5圏内にあります。

 銀座・有楽町エリアや渋谷・青山エリアなど、首都圏の駅近・好立地に多くの物件を保有しており、保有物件の空室率は1%以下になっていることが特徴です。都市型中規模コンパクト商業施設である「HULIC&New」シリーズの展開を積極的に行っています。

▼業績見通し

 2021年12月期営業利益は1,145億円で前期比13.8%増益となっています。賃貸事業、不動産売上ともに増加しています。賃貸など不動産の含み益は2021年12月期末で3,646億円、前期末比116億円の増加にもなっています。

 2022年12月期営業利益は1,230億円で同7.4%増益の見通しです。海外投資家などの旺盛な投資意欲と低金利などを背景に、安定した不動産市況が続くと見込んでいます。

▼ここがポイント

 上場後は連続しての増配を行っており、2022年12月期年間配当金も前期比1円増配の40円を計画、配当利回りは3.7%の水準となっています。

 また、2022年12月期営業利益の水準は、5年前の2017年12月期642億円から91.4%増加する水準です。この期間は連続増益基調が続く形になっています。

 なお、現在の株価1,095円は、昨年9月14日の高値から22.5%下落した水準にあります。公募増資を実施したことが株価下落の一因になっています。

ダイワボウHD(3107・東証1部)

▼どんな銘柄?

 ITインフラ流通事業が現在の主力となっています。独立系のマルチベンダーとして、PCをはじめ世界中のメーカー約1,300社の商品・サービスを販売しています。全国93拠点での地域密着型営業によるパートナー企業との協業体制が強みになっています。

 合繊・レーヨン、産業資材、衣料製品を扱う繊維事業、工作機械や自動機械を扱う産業機械事業なども展開しています。産業機械では、中・大型の立旋盤で国内シェアトップです。

▼業績見通し

 2022年3月期第3四半期累計営業利益は149億円で前年同期比29.8%減益となっています。

 ITインフラ流通事業において、半導体不足などにより一部の商品がひっ迫し複合提案が難航したこと、GIGAスクール構想に伴う端末出荷の反動減などが、減益決算の背景とみられます。

 通期は285億円で前期比18.6%減益の予想となっています。年間配当金は実質前期並みの水準を計画しています。なお、中期計画では、2023年3月期は横ばい程度の水準を見込んでいます。

▼ここがポイント

 2022年12月期年間配当金は、株式分割を考慮すると前期比横ばいの60円を計画で、配当利回りは3.4%の水準となっています。また、2022年3月期営業利益は、5年前の2017年3月期126億円から2.3倍となる水準です。

 前期までは着実な増収増益基調が継続する形になっていました。なお、現在の株価1,759円は、2021年8月の高値から24.5%下落した水準にあります。IT関連銘柄として、年初からのグロース株安にツレ安する状況にもあるようです。

UACJ(5741・東証1部)

▼どんな銘柄?

 古河スカイと住友軽金属が2013年10月に経営統合して誕生しました。アルミニウム圧延品の生産能力は年間100万トン超の規模で、世界トップクラスの規模となっています。

 アルミ板の品種別では缶材が主力で自動車材なども多くなっています。自動車材では、高温成形用アルミニウム合金を開発したほか、国内トップシェアを誇る熱交換器材、世界でも数社しか生産できないコンプレッサホイールなどを提供しています。

▼業績見通し

 2022年3月期第3四半期累計経常利益は360億円で前年同期比366億円の損益改善となっています。在庫評価益の影響が大きく寄与しましたが、それを除いたベースでも、156億円で同7倍近い増益率となっています。

 タイや米国の缶材が引き続き増加しているほか、自動車などの輸送用機械向けも需要が回復しています。通期では400億円で前期比6.7倍の見通し、従来予想の250億円から大幅に上方修正しています。

 在庫評価益の影響を除いたベースでは、180億円で前期比2.9倍の水準となります。

▼ここがポイント

 2022年3月期年間配当金は85円の計画で、前期無配からの復配となります。配当利回りは3.7%の水準となります。会社側では長期的な総還元性向は30%以上を目標としています。

 また、2022年3月期営業利益の水準は、5年前の2017年3月期259億円から65.5%増加する水準です。2022年3月期は在庫評価益で押し上げられる面も大きいですが、中長期的には自動車軽量化の流れが収益拡大を後押しする公算です。

 なお、現在の株価2,327円は、昨年9月14日の高値から25.3%下落した水準にあります。足元では第3四半期決算がマイナス視される形で、やや調整する状況になっています。