米金融引き締め策は大方織り込む。3月配当権利取りの意識から高利回り銘柄に関心
2月10日に発表された米国1月の消費者物価指数は、市場予想を上回る前年同月比7.5%の上昇となり、伸び率は約40年ぶりの大きさとなっています。
これを受けて、米国の年内利上げ回数見通しの引き上げ、3月FOMCでの0.50%の利上げ実施などが織り込まれる状況になりつつあります。
今しばらくは不安定な相場展開が続く可能性もありますが、米金融政策に関してはかなり悲観的なシナリオを織り込みつつあると考えられ、一段の過度な下落にはつながりにくいとみられます。
一方、北京オリンピック後の国際情勢の変化などはリスク要因として残ります。ウクライナ情勢の緊迫化や米中の貿易摩擦再燃などが強まる可能性はあるでしょう。
10-12月期の国内企業の決算はおおむね底堅いものであったと評価できますが、半導体など原材料の調達不足に加えて、原材料費の上昇、運送費の上昇などのコストアップが大いにクローズアップされる状況ともなっています。
ただ、原材料費や運送費の上昇は、今後は製品価格への転嫁が進むことで、企業収益のマイナス要因としては解消されてくる企業が多くなりそうです。
最終需要の多寡が価格転嫁の成否を決める企業も多くなることから、今後は選別の動きも重要となってきそうです。やはり、BtoC企業は相対的に十分な価格転嫁が進めにくくなる可能性があるでしょう。
なお、部材調達不足や原材料費・運送費の上昇は新型コロナの感染拡大に起因しているものが多いとみられ、感染者数の沈静化に伴って、悪影響は軽減されてくると考えます。インフレ自体の落ち着きにもつながる公算もあるとみます。
大幅な株価調整を強いられているグロース株は、今後も需給波乱の可能性が残り、本格的な反騰に入るには時間を要する可能性があります。
相対的に株価上昇をけん引するのはバリュー株とみられ、なかでも、3月末の配当権利取りが意識されてくるタイミングであるため、高配当利回り銘柄には関心が向かいやすいとみられます。
ほかでは、旅行関連を中心としたリオープニング関連銘柄にも期待したいところです。国内感染者数のピークアウト感が鮮明化してくれば、景気対策として即効性のあるGoTo政策への思惑が強まっていくでしょう。
秋の参院選を控えるなかでの景気対策としては最も有効なものになり得ます。ピークアウトを織り込む局面は近いと判断されます。10-12月期決算が一巡すれば、来期業績の織り込みも進み始めるでしょう。
その際には、半導体調達不足が想定以上に長期化している状況ですが、その後の挽回生産拡大の余地が大きい自動車関連が注目されるとみられます。