2.米国市場と東証にみる「新春相場の勝ち組大型株」
株式市場では一般的に、各業界を代表する企業で、収益性、成長性、財務面に優れ、時価総額の大きな銘柄を「大型株」(大型銘柄)と総称します。とはいうものの、相場環境が変動するなか、大型株の全てが一様に上下するとは限りません。図表1で示したような、業種物色の影響を強く受けることは多々あります。
図表2は、米国市場で時価総額が最も大きい100社で構成されるS&P100指数の構成銘柄のうち、年初来騰落率の上位10銘柄をランキングしたものです。
経済活動の回復や資源高から恩恵を受けやすいエネルギー関連に加え、長期金利上昇(利ざや拡大)を好感した金融株の優勢が鮮明となっています。予想PER(株価収益率)が比較的低く、配当利回りが高めの銘柄が多いことも目立ちます。
ただ、機関投資家によるESG(環境・社会・企業統治)重視の物色が広まるなか、化石燃料市況の堅調を背景とするエネルギー株優勢に、長期的な持続性があるかは不透明です。一方、債券市場金利が安定化すれば、成長期待が強いグロース株が持ち直す可能性もあります。今後の物色変化次第で「主役交代」が起こる可能性は否定できません。
<図表2:新春相場:米国大型株の「勝ち組」は?>
図表3は、日本の東証1部上場大型株を象徴するTOPIX(東証株価指数)100指数(時価総額上位100社)構成銘柄の、年初来騰落率ランキングです。米国市場と似て、エネルギーや金融などの優勢が目立ちます。
これら銘柄は、TOPIX(市場平均)をリードする銘柄群で、「新春相場の勝ち組」といえるでしょう。広義の景気敏感株やバリュー株と呼ばれる銘柄が多く、予想PERや配当利回りでみると、業績回復期待を加味したバリュー(割安感)が見直されている点が特徴です。