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注目されるシティ・バンカメの決算と21日の議会証言
石原 順
外為市場アウトルック
リーマンショックの影響による景気回復に向けた歳出の増大が、世界中で財政赤字の拡大を招いた。政治家は財政再建をしなければならず、その結果、景気対策は中央銀行に押し付けられることにな…

注目されるシティ・バンカメの決算と21日の議会証言

2009/7/17
数社の海外ファンドの運用を担当する現役ファンドマネージャーとして活躍する石原順氏による外国為替市場レポート「外為市場アウトルック」。お客様の投資のヒントにお役立てください。
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6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録が発表されたが、焦点の米国債などの資産買い入れについては、市場への配慮を理由に購入規模を据え置いたことが明らかになっている。現在のマーケットテーマは“出口戦略”である。日本のように10年以上にわたっていっこうに出口が見えない国もあるが、米国市場では出口戦略論議がにぎやかだ。市場関係者は来週21日のバーナンキFRB議長の議会証言で、非伝統的なバブル政策からの出口戦略について説明があると期待しているらしい。

半年程度の金融バブルが起こったくらいで出口戦略をとるなど時期尚早だろう。そのような戦略があやまりであることは、1990年バブル崩壊後の日本をみていれば自明のことなので、ヘリコプター・ベンが迅速な出口戦略に動くとは思えない。しかし、仮にバーナンキがFRBのバランスシートの縮小(国債やMBSの購入をやめる)に動けば、中央銀行バブルの収縮によって現在の国策バブル相場に急減速がおこるだろう。行き着く先は日本のようなデフレ不況である。いずれにせよ、市場は21日の議会証言と8月11日のFOMCで、年後半の相場の見当をつけにくるだろう。

今週発表されたゴールドマンやJPモルガンの決算はよかったが、これらは所詮、予定調和の範疇だ。本日発表されるシティグループとバンク・オブ・アメリカの決算や、8月6日に予定されているAIGの決算のほうが市場の注目度が高いので注意したい。

バブル(過剰流動性)相場では「売り」トレンドが発生しにくい。先週は 円相場のボリンジャーバンドが拡大し、これが久々の売りトレンド相場に発展するのかに注目したが、ジャブジャブの金余り状況を背景にリスク商品が買い直され、早くもトレンドは消滅しそうな気配である。(今日の米銀決算と21日を通過しないとわからないが)一方、ユーロ/ドルやポンド/ドルのドルストレート相場は方向性が出ておらず、現在もニュートラルな状況である。

ドル/円(日足) 方向性指数が横ばいに…

上段:ADX(赤)と標準偏差ボラティリティ(青)
下段:26日ボリンジャーバンド


(出所:石原順、ブルームバーグ)

豪ドル/円(日足) 売りトレンドはピークアウトか?

上段:ADX(赤)と標準偏差ボラティリティ(青)
下段:26日ボリンジャーバンド


(出所:石原順、ブルームバーグ)

ユーロ/ドル(左)とポンド/ドル(右)

現在トレンドは発生していないが、近く保合を放れそうな状況


(出所:石原順、ブルームバーグ)

先週のレポートで、「今年の相場でリスク資産の売り方が苦戦しているのは信用リスクが上がらないからだ。原油相場の天井感から各市場に波及しつつあるリスク資産売りのトレンドが強化されるには、再び信用リスクが高まることが必須となる。しかし、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)のドル金利やフィラデルフィア KBW銀行株指数を見ている限りでは信用リスクは高まっていない。信用リスクが高まらないうちは円高も限定的になるだろう」と述べたが、信用リスクの代表的な指標である銀行間取引金利(LIBOR)のドル金利・フィラデルフィア KBW銀行株指数・VIX恐怖指数をみると、依然、信用リスクの低下が続いている。

信用リスクが上昇するとしたらAIG・シティグループ・バンカメの決算でのサプライズであろう。ただ、米金融機関は時価会計の棚上げ以降はモラトリアムの期間にあるので、信用リスクの問題はやはりバブル相場の胴元であるFRBの政策変更にかかっている。出口戦略がマーケットテーマとなっている現在、来週21日のバーナンキFRB議長の議会証言や8月11日のFOMCを待たないと相場のトレンド(方向性)を決める決定的な材料は出ないと思われる。それまでの円相場は基本的に気迷いながらも米株連動で推移するだろう。

ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)3カ月物のドル金利(日足)


(出所:石原順、ブルームバーグ)

フィラデルフィア KBW銀行株指数(日足)


(出所:石原順、ブルームバーグ)

恐怖指数 CBOE SPX VOLATILITY INDX(日足)


(出所:石原順、ブルームバーグ)

米SP500株価指数(日足)

クロス円相場は米株連動


(出所:石原順、ブルームバーグ)

市場参加者の1~3ヶ月の平均コストである「移動平均リボン」を上抜けてくるまでは、現在のドル/円・クロス円相場の戻りが、アヤ戻しなのか本格反騰となるのかわからない。比較的トレンドがわかりやすいのは豪ドル/円で、ポンド/円やドル/円はこのリボンの中で相場をやることが多いため、売りも買いともにクロス円取引では豪ドル/円が組みしやすいだろう。

ユーロ/円(日足)

上段:HIGH WAVE(赤)・LOW WAVE(青)
下段:移動平均リボン(20日と75日の移動平均を代用してもよい)


(出所:石原順、ブルームバーグ)

<チャートの上段は各通貨の高値・安値の5%以上の変化での転換線であるが、この高値のラインと安値のラインが離れている時は相場からふるい落とされることが多い>

ポンド/円(日足)

上段:HIGH WAVE(赤)・LOW WAVE(青)
下段:移動平均リボン(20日と75日の移動平均を代用してもよい)


(出所:石原順、ブルームバーグ)

ドル/円(日足)

上段:HIGH WAVE(赤)・LOW WAVE(青)
下段:移動平均リボン(20日と75日の移動平均を代用してもよい)


(出所:石原順、ブルームバーグ)

豪ドル/円(日足)

上段:HIGH WAVE(赤)・LOW WAVE(青)
下段:移動平均リボン(20日と75日の移動平均を代用してもよい)


(出所:石原順、ブルームバーグ)

円相場の相場変動幅(ATR)の動向(データは2009年7月16日まで)

ドル/円およびクロス円市場は「円の上昇時に変動幅が拡大し、円の下落時に変動幅が縮小する」という市場の構造を持っている。(特に変動幅縮小の過程では円安になりやすいというのが円相場の特徴である)ドル/円やクロス円通貨は、ATR(アベレージトゥルーレンジ)が下がる過程で円安、上がる過程で円高となるパターンが多い。黄色の期間は円の売り放置やキャリー取引はリスクが高くなる。

豪ドル/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯

豪ドル/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯
(出所:石原順、ブルームバーグ)

ユーロ/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯

ユーロ/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯
(出所:石原順、ブルームバーグ)

ポンド/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯

ポンド/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯
(出所:石原順、ブルームバーグ)

ドル/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯

ドル/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯
(出所:石原順、ブルームバーグ)

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