先週のNYダウ、最大1,100ドルを超えた下げ

 ドル/円は、1月4日に1ドル=116円台前半で高値を付けた後、勢いがなくなり、115円台から113円台へと久しぶりに大きく動きました。

 12日に発表された米国CPI(消費者物価指数)は、前年比+7.0%と、39年ぶりの大幅な伸びを記録しましたが、予想を下回ったことや、前月比の伸びが鈍化したこともあり、ドル買いにはつながりませんでした。

 また、「日銀が2%の物価目標達成前に利上げを議論」との観測報道によって、113円台に突っ込みましたが、115円台からの下落幅を考えると、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融正常化への期待と思惑によって、年末年始に相当ポジションが積み上がっていたのだろうと推測されます。

 114円割れは意外感がありましたが、これで短期的なポジションを投げ切ったと思いきや、18日の日銀金融政策決定会合後の記者会見で黒田総裁が、「利上げとか、現在の緩和的な金融政策を変更することはまったく考えていないし、議論もしていない」と、マーケットで燻(くすぶ)っていた利上げ観測を一蹴したにもかかわらず、ドル/円の戻りは鈍い動きとなりました。まだ円ショートのポジションが残っているのかもしれません。

 先週の米国株は大幅に下落しました。ナスダックとS&P500の1週間の下落率は、コロナウイルスの感染拡大が本格化した2020年3月以降で、最大の下落率となりました。

 週明け、この流れは続きました。24日のNY市場ではNYダウ(ダウ工業株30種平均)が一時1,100ドルを超える下げとなりました。結局、99ドル高で終えましたが、世界的な金融引き締めへの警戒と、ウクライナ情勢の緊迫が重なり、このような乱高下となりました。

 この流れを引き継ぎ、25日の東京市場でも株は売られ、457円安となりました。そしてこの株安とウクライナ情勢がドル/円を113円台にとどめているようです。