ウクライナ情勢緊迫でマーケットの警戒感高まる

 また、今週は、株安と円高をもたらしたもう一つの要因にも注目です。24日、NATO(北大西洋条約機構)は、ウクライナ情勢の緊迫化を受け、東欧に増派すると発表しました。同時に米国も、24日、東欧に8,500人規模の米軍を派遣する準備に入ったことを明らかにしました。

 また、米英政府は24日までに、在ウクライナ大使館に勤務する一部職員と家族に退避を命じたと報じられました。

 これらの報道を受けて24日の株式市場は乱高下となったのですが、ウクライナ情勢の緊迫度が高まってきていることに、マーケットの警戒心は高まってきています。

 マーケットの関心はロシアが侵攻するかどうかではなく、いつ侵攻するのかに移っているため、ウクライナ情勢の緊迫は、株高や円安の頭をおさえる要因として続きそうです。

 過去のロシアの動きをみると、2008年8月8日、北京夏季五輪の開会式に出席していたプーチン首相(当時)は、グルジア政府軍が分離独立を求める南オセチア自治州に侵攻したことへの反撃を指示していました。

 また、2014年2月23日、ソチ(ロシア)冬季五輪の閉会式が終了した後、プーチン大統領は、自国民保護という名目でクリミア半島に侵攻しました。

 このように、ロシアは、五輪前後に軍事行動を起こしているという実績があるため、来月2月4日から20日まで開催される北京冬季五輪の前後の期間が、非常に注目されています。

 2月10日から20日まで、ロシアとベラルーシが合同軍事演習を行うという報道もあり、2月はさらに緊迫度合いが高まることが予想されます。

 11月には米国中間選挙があります。バイデン政権の支持率は、アフガン撤収や歴史的物価高によって低下しており、中間選挙は上下院とも民主党大敗の可能性が高まっています。

 歴史的にロシアに対して強硬路線を取る共和党が議会を牛耳(ぎゅうじ)る前に、プーチン大統領は行動を起こしたのではないかとの見方もあります。

 また、ウクライナ緊迫は原油高維持というメリットが米露両国にあるため、米中間選挙ぎりぎりまで長引かせるかもしれないとの見方もあります。

 1月21日の米露外相会談で、米国は今週中にロシアの要請に対して書面で返事をし、その後再び両者は会談するとの話になっていますが、それまでは緊張は高まっても軍事行動は起こらない可能性があります。

 また、再会談の後、首脳会談の可能性も報道されています。最悪の事態を避けることができればよいのですが、決着がつくまではマーケットはかなり神経質な動きになりそうです。