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相関関係を失った金融市場
石原 順
外為市場アウトルック
数社の海外ファンド運用に携わる現役ファンドマネージャー・石原順のレポートです。相場の周期および変動率を利用した独自のトレンド分析や豊富な海外情報ネットワークを用いて、為替市場のい…

相関関係を失った金融市場

2009/2/20
数社の海外ファンドの運用を担当する現役ファンドマネージャーとして活躍する石原順氏による外国為替市場レポート「外為市場アウトルック」。お客様の投資のヒントにお役立てください。
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この数週間の金融市場は非常に複雑な動きとなっている。米国金利とドル、米株とクロス円、ゴールドとドルといったこれまで比較的わかりやすい相関関係(あるいは逆相関関係)にあった商品連関が崩れており、分散投資によるポートフォリオ運用は機能しなくなっている。ロシア・東欧に代表される第二次金融危機のなかで、国際分散投資資金の引き上げが活発化しているが、その結果としての株安、ドル不足、信用収縮のヘッジとしてのゴールドの現物買いが継続している。

NYダウ(左)ゴールド先物(中央)、ドルインデックス(右)
<株売り・ドル買い・ゴールド買い相場>


(出所:石原順、ブルームバーグ)

このような状況のなかで外為市場は悪さ比べの相場が続いているが、ユーロが基軸通貨の代替とならないことが判明したことから、ドルに変わる基軸通貨はないという認識の中で、ポートフォリオをドル建て資産に戻すといったファンド勢の動きが出ており、ドルは堅調となっている。この動きはポンドに始まり、ユーロ、円、スイスと順番に飛び火し、株安・ドル高のリパトリ圧力は強い。こういった状況のなか、ドル/円は外資系金融機関の日本市場からの撤退や活動休止、邦銀のドル不足、年金のドル買いPKO、投機筋のドル買い戻しなどが入り交じり、92円、93円のテクニカルポイントを上抜け、2月19日には94円 46銭まで上昇した。

この先、現在のドル高・円安は今後もしばらく継続されるのであろうか?1月19日の週から数えてドル/円の反騰は今週で5週目に入る。現在のドル高が修正高に過ぎないとしたら、概ねドルの反騰は2~5週間で終わるので、今週でドル高は一巡となる。一方、現在のドル上昇が8週間以上続けばドル/円の中期トレンドはドル高に転換した可能性が高くなる。こういった相場周期の観点からは来週の相場の動きは非常に重要となる。

筆者は複数の手法で運用を行っているが、中期的な相場の転換点をとらえるスウィング・トレードの逆張りポイントをドル/円で95円レベルとみており、ドル/円の94円台ではストップ・ロスを考慮しながらドル/円の売り、クロス円の売りを行っている。

2月16日に発表された日本の10-12月期の実質国内総生産(GDP)(前期比マイナス3.3%、年率マイナス12.7%)は市場の予想以上の悪化を示し、第一次オイルショックのあった1974年以来の大幅なマイナスになった。日本のファンダメンタルズは悪化しており、そういった常識的な観点からは円を買う理由はまったく見当たらない。実際、今週の円安を日本のファンダメンタルズの悪化や麻生政権の弱体化で説明している報道を見かけるが、これは正しくないだろう。日本の不景気は円高要因なのである。

日本の1990年以降のドル/円相場の円高局面はすべて日本の景気後退局面と連動しており、外為市場において日本の不景気は円高を促す傾向がある。不景気でリスクをとる余力がなくなると円高になるというパターンは、毎回、円キャリー取引の巻き戻しによって起こっている。したがって、短期的な需給の動きはともかく、日本の景気が回復するまでは円高バイアスがかかり続けるだろう。

1990年以降のドル/円相場の円高局面はすべて日本の景気後退期(黄色の部分)
(矢印は3月のドル/円相場・3月相場は大きく動くので要注意)


(出所:石原順、ブルームバーグ)

昨日はNYダウが6年ぶりの安値をつけたが、NYダウがもう一段下がるとクロス円相場は米株との連動を再開する可能性が高いので注意したい。株安を誘発する可能性のある決算発表が今後も続くので、決算発表のスケジュールも頭に入れておきたい。


(出所:石原順、ブルームバーグ)

冒頭で述べたように、現在の相場はファンダメンタルズを反映しない需給中心の相場である。楽天FXチャートの時間足の21時間ボリンジャーバンドの1σ(シグマ)の飛び出し局面を狙って、短期トレードに徹するのがよいだろう。

21時間ボリンジャーバンドの1σ(シグマ)の飛び出し局面


(出所:石原順、楽天証券)

円相場の相場変動幅(ATR)の動向(データは2009年2月19日まで)

ドル/円およびクロス円市場は「円の上昇時に変動幅が拡大し、円の下落時に変動幅が縮小する」という市場の構造を持っている。(特に変動幅縮小の過程では円安になりやすいというのが円相場の特徴である)ドル/円やクロス円通貨は、ATR(アベレージトゥルーレンジ)が下がる過程で円安、上がる過程で円高となるパターンが多い。黄色の期間は円の売り放置やキャリー取引はリスクが高くなる。筆者はデイトレードおよびスウィングトレードでも緑の期間は円売り、黄色の期間は円買いを中心にしている。相場の循環からみると、当面は円高バイアスがかかり続けるので過信は禁物である。また、過去にはATR上昇で円安、 ATR下落で円高となった局面も多いので注意されたい。

ドル/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯


(出所:石原順、ブルームバーグ)

ユーロ/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯


(出所:石原順、ブルームバーグ)

ポンド/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯


(出所:石原順、ブルームバーグ)

豪ドル/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯


(出所:石原順、ブルームバーグ)

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