2022年の3~10位も注意が必要!

 3位には「米中間選挙」を挙げ、トランプ前大統領の2024年米大統領選への出馬を左右するだけでなく、「歴史的な転換点となる」としています。民主党のバイデン大統領の支持率が低下する中、野党共和党が議会上下両院の多数派となる可能性があると分析しています。

 そして民主党と共和党のどちらが勝っても、「不正選挙だ」との批判合戦となり、政治への信頼が低下し、混乱や暴動が起こる恐れがあるとし、次期大統領選に向けた「歴史的な転換点」になる可能性があるとしています。イアン・ブレマー氏は、場合によっては選挙制度が崩壊する可能性も指摘しています。

 米中間選挙は今年後半の最大の注目イベントですが、中間選挙の結果が出ても、その後の政局や社会の動きはまったく不透明ということになります。マーケットはかなり混乱することが予想されるため、注意が必要です。

 4位には「中国の国内政策」を挙げています。今年後半の共産党大会で習近平総書記が異例の3期目政権に踏み出すことが確実視されており、習政権に対するチェック機能がほとんど働かず、中国経済の停滞など政策を誤る恐れがあると指摘しています。

 5位は「ロシア」を挙げています。ウクライナ情勢を巡るプーチン大統領の次の一手に注目し、米欧の譲歩がなければウクライナ侵攻の恐れもあるとし、米露関係は極めて危険な緊張状態にあるとしています。

 6位には、核合意の立て直しを巡り、対外強硬姿勢を崩さない「イラン」を挙げています。周辺地域で緊張が高まり、紛争のリスクもあると予測しています。

 7位には「2歩前進、1歩後退の環境対策」を挙げ、脱炭素政策とエネルギー政策の衝突を指摘しています。脱炭素による短期的なエネルギー不足によってエネルギー価格が高騰し、インフレや市場不安定化の要因になると予測しています。

 8位には「世界の力の空白地帯」を挙げ、アフガニスタンやイエメンでテロ組織が増長し、ミャンマーなどで難民流出や内戦の懸念があるとしています。

 9位には「文化(価値観)戦争に敗れる多国籍企業」を挙げています。企業は環境や人権問題などへの対応を迫られ、高コスト化にも直面すると予測しています。

 10位には、昨年も第7位のリスクだった「トルコ」を挙げています。国民の目を経済危機からそらすためのエルドアン大統領の強硬的外交政策で周辺地域の緊張が高まると予測しています。