昨年度のリスク1位はどんぴしゃりで的中!
ユーラシア・グループが今年の「世界10大リスク」の報告書で第1位に挙げたのは、「No zero Covid」(ゼロコロナ政策の失敗)です。
報告書は、「先進国ではワクチン接種の推進などによってパンデミックの終息が近付いている」とした一方、「ほとんどの国はより困難な時期を迎えることになる」と指摘しています。
しかし、中国が新型コロナの封じ込めを目指す「ゼロコロナ政策」は、2020年には成功したかのように見えましたが、「中国は封じ込めに失敗して、より大きな感染を引き起こし、深刻な都市封鎖につながるだろう」と予測しています。
そして中国国内の消費の落ち込みやサプライチェーンの混乱による影響は世界に波及し、経済不安やインフレの加速、格差拡大などに対する不満が各地で政情不安を引き起こす恐れがある、と警告しています。これを「No zero Covid」と表現しました。
昨年の「世界10大リスク」の中で、コロナについては第2位のリスクとして、「新型コロナの影響の長期化」を挙げていましたが、今年は中国が新型コロナウイルスを完全に封じ込められず、経済の混乱が世界に広がる可能性を指摘し、新型コロナとの戦いをトップリスクに挙げています。
現実に、中国は2月4日からの北京冬季オリンピックを控えて、12月23日から西安市(住民約1,300万人)でロックダウンに踏み切りました。2週間以上がたち、住民の生活や企業に影響が出始めているとの報道がみられます。このままオリンピックまでコロナを封じ込めることができればよいのですが、その動向には注目です。
2位は、国家や政府の力が及ばない「巨大IT企業の影響が強まる世界」のリスクを挙げています。デジタル空間では一握りの巨大IT企業が主役となり、個人の思考にも影響を与えると指摘し、米国では11月の中間選挙を前に、デジタル空間に誤情報がさらに広がり、民主主義への信頼が損なわれると予測しています。また、デジタル分野において米中の緊張が高まるだろうとの懸念を示しています。