今日の為替トレッキング

今日の一言

自分が大切なことを成し遂げたいと思うならば、他人が助けてくれることを期待してはいけない

I'll Follow The Sun

 2021年後半の世界の中央銀行そして投資家にとって、最大の注目ポイントは「インフレ」だったといっても過言ではないでしょう。

 インフレはグローバルな事象ではなく、各国の経済事情によって異なるローカルなイシューといわれていますが、このインフレは、米国だけではなく、欧州、英国、中国と、世界同時多発的に発生しています。日本では今のところ顕著な物価上昇は観察されていませんが、11月の国内企業物価指数は41年ぶりの上昇を示すなど、その兆候はすでに表れていて、物価上昇が始まるのは時間の問題と思われます。

 2021年のインフレはどのようにして起こったのか。その原因をつくったのは、新型コロナでした。2020年3月、新型コロナ感染の大流行によって世界の主要都市が次々とロックダウンを導入。多くの人々は仕事を失い、移動の自由を奪われるなかで、政府は景気下支えのため現金を配りました。

 2021年になってコロナワクチンが普及し、この1年で米国では73%、日本では80%、世界全体でも50%が部分接種を完了。ワクチンの普及によって移動制限が緩和され、人々が自由に外出できるようになると、「リベンジ消費」と呼ばれる、時間差での消費需要が発生しました。

 需要はいちどきに発生し、またロックダウン後の小売店は在庫が品薄だったことも重なって、流通網に多大な負荷をかけた結果インフレが大発生しました。つまり、需給のバランスが崩れたことがインフレの原因だったのです。別の見方をすると、2021年後半の経済は、ロックダウンや緊急事態宣言などで使う機会がなかったお金を財源とした、熱狂的な消費者需要に支えられたともいえます。

 しかし、貯金はいつか底をつく。2022年は異常な需要がおさまり、インフレも時間差で落ち着いて行くでしょう。今がまさに、異常から正常への転換点に立っているのかもしれません。

 急速に感染が拡大しているオミクロン変異株に対して、各国の政府がロックダウン再導入を決断し、景気対策でまた現金を給付するならば、これは2020年の繰り返しで、オミクロン変異株はインフレ要因となります。

 しかし、政府の財源は無限ではない。現金給付金なしで厳しい移動制限を強制するならば、需要は後退し、特に旅行などサービス産業がダメージを受けることになるでしょう。この場合、オミクロン変異株はデフレ要因となります。