シカゴCTA筋の話では、マーケットテーマの変質についていけないマクロ系ファンドの損失が拡大しているという。インフレヘッジ、インフレ買いと皆が熱狂していたのが嘘のように、金利市場ではインフレ低下(沈静化)の度合いを探る地合となっている。
大雑把にみるとこれだけインフレが騒がれながら、日本も米国も長期金利は低位安定が続いている。債券市場をみていると、どこにインフレが織り込まれているのかまったくわからない。ユーロ圏の要人からインフレ警戒発言が相次いでいるが、あれはインフレファイターとしてブンデスバンクの信任を引き継ぐ ECBのスタンスからは当然で、ECBは仮に利下げをしてもインフレ警戒を謳っていくだろう。インフレの抑制と物価の安定がECB(中央銀行)の仕事だからだ。いずれにせよ世界的に利上げサイクルは終焉を迎えている。
- 日本10年国債金利(上段)と米国10年国債金利(下段)
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(出所:石原順、ブルームバーグ)
昨今のドル安は米国人の資産選択の結果として起こった現象であった。インフレ率に負けない運用をするために401Kでブラジル株を買い、先進国での株式買い・債券売りがインフレヘッジとして機能しないなかでコモディティへの投資が行われた。そのドット・コーン・バブルも一旦終息し、世界規模で株・不動産が下落している現在、ポジションの手仕舞いばかりが優先され、投資家は売る商品はあっても買う商品がなくなってしまっている。現在のドル高はオーバーレバレッジ解消の帰結である。物価高と資産デフレが共存しているという矛盾が、現在の資産運用を困難にしている。
仮に、この先世界的な景気後退でインフレが終息しデフレ色が強まるなら投資家は何もしなくてよい。そういった局面は現金がバブルするからだ。世界規模での金融機関の貸し渋りが指摘されているが、ヘッジファンドなどは信用収縮と新BIS規制の影響で資産売却や融資返済を迫られているのが現状だ。オーバーレバレッジの解消にともなってスケールダウンが始まると、運用の世界では資産売却と現金化に拍車がかかる。現在、世界の市場で最も輝いて見える商品は「CASH=現金」なのである。基軸通貨であるドルは「世界の現金」なので、現在そこに運用資金が滞留している。
さて、米国のドル高政策と原油安を背景にしたここまでのドル高を振り返ってみよう。ドルが急激に上昇したのは7月15日の米金融株の空売り規制以降である。3月17日のベアスターンズ救済、4月30日の米利下げ停止宣言、6月3日のバーナンキドル防衛発言とこれまでドル上昇の材料がいくつかあったが、投機筋が一番いやがるのは「規制」であることがはっきりしている。SECのコックス委員長が9月に新たな空売り規制を行うことを仄めかしているが、金融株19銘柄から全金融株に空売り規制を拡大するとの観測もあり、延長を含めた3回目の空売り規制ではあるもののドルや株の下支え要因となるだろう。また、英紙フィナンシャル・タイムズ・ドイツ版は、ECBやFRBなどの中央銀行が危機時の流動性供給改善を計画し10月に発表すると報道している。3月以降の市場は投機VS当局(政治)の構図で動いており、ファンド勢は各国当局の動向を注視している。
- ドルインデックス(日足) 7月15日の「空売り規制」後にドルが急上昇
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(出所:石原順、ブルームバーグ)
原油の売りやユーロの売りをみていると、ボリンジャーバンドにタッチしながらの下落相場は終了し、「ドル売り・原油買い」ポジションを持っていたファンドの巻き戻しである「ドル買い・原油売り」相場もとりあえずは一巡感がでている。ファンド勢は次のトレンドとチャンスに備えて現金比率を拡大中である。クロス円なども売られすぎのリバウンドが想定されるものの、それはテクニカルなリバウンドに過ぎないだろう。利下げサイクルを織り込みながらの円キャリートレードは、年内は難易度が高くなる。上昇につくにせよ下落につくにせよ、現在の局面では短期の利食いを優先するのがよいだろう。相場は中段保合の様相を呈しているが、ここからの局面は「ナンピン・ソンピン・スカンピン」とならないように、次のトレンドをしっかり確認したい。
- WTI原油先物(日足)33日ボリンジャーバンドと支持・抵抗線
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(出所:石原順、ブルームバーグ) - ユーロ/ドル(日足)21日ボリンジャーバンドと支持・抵抗線(上段)RSI(下段)
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(出所:石原順、ブルームバーグ) - 豪ドル/ドル(日足)21日ボリンジャーバンドと支持・抵抗線(上段)RSI(下段)
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(出所:石原順、ブルームバーグ)
円相場とATRの推移
ドル/円およびクロス円市場は「円の上昇時に変動幅が拡大し、円の下落時に変動幅が縮小する」という市場の構造を持っている。(特に変動幅縮小の過程では円安になりやすいというのが円相場の特徴である)ドル/円やクロス円通貨は、ATR(アベレージトゥルーレンジ)が下がる過程で円安、上がる過程で円高となるパターンが多い。この手法は将来の収益を保証するものではなく、ATR上昇で円安、ATR下落で円高となることも多々あるので注意されたい。
- ドル/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯
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(出所:石原順、ブルームバーグ) - ユーロ/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯
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(出所:石原順、ブルームバーグ) - 豪ドル/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯
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(出所:石原順、ブルームバーグ) - ランド/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯
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(出所:石原順、ブルームバーグ)



















































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