今日の為替トレッキング

今日の一言

誰も自分の出自からは逃げられない。過去に背を向けずに向き合い、自分を成長させる糧にすることだ

Ramble On

 今夜は11月のCPI(米消費者物価指数)の発表があります。パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)がインフレ高止まりを公式に認めるなかで、来週行われる2021年最後のFOMC(米連邦公開市場委員会)でのテーパリング加速議論に最も関わりのあるデータとして注目が集まっています。市場予想は前月比+0.7%、前年比+6.8%。また未明に発表されるミシガン大学消費者態度指数も、インフレ期待の強さを知る材料として重要です。

 米国のインフレは中古車自動車価格から始まりました。中古車価格が高騰したのは、コロナで自動車通勤の需要が急増したことに加え、半導体チップの供給不足による新車生産の大幅な遅れが理由でした。しかし、ここ数カ月は中古車価格も落ち着き、FRBの「インフレは一過性」で終わるという主張の証拠にもなっています。

 ところが、ここに安心するのはまだ早い、インフレはしつこいというデータがあります。
マンハイムは、米国最大の自動車オークション会社で、米国内の約80カ所の拠点から年間約600万台の自動車を販売しています。ライブ・オークションとデジタル・オークションの両方を運営しており、入札者はリアルタイムで参加することができます。

 中古車価格は今年の夏にピークを迎えたと言われていましたが、最近のマンハイムオークションでは、今年の最大の月間上昇幅2回分に匹敵する8.3%の急上昇。マンハイムのオークションの動向は、数カ月の遅れをもって中古車小売価格に反映されるので、今後発表される消費者物価指数(CPI)にアップサイドリスクがあります。

 日本では交通網が発達しているので、中古車価格が急上昇したところでインフレの実感はわかない。一部の商品が高くなっただけで、運転しない人にとっては関係ないことです。インフレはグローバルではなく、ローカルな問題といわれる理由です。

 しかし、食料品はそうはいかない。ドライブをしなくても生きていけるが、食事をしなければ生きられない。先進国の食料品価格は、農業生産国のエネルギー価格と労働コストが大部分を占めます。最近では中東の政府が小麦を大量に購入したり、中国人が食料の備蓄を増やしたりするなどパニック買いが発生しています。日本にも食料品インフレがやってきます。食料品インフレは、ローカルではなくグローバルな問題です。

出所:楽天証券作成