米国、高インフレ続く?IT株が下落する理由

 今週の日本株は、先週下落率が高かった情報通信や小売、成長株の多いマザーズやジャスダック市場を中心に、引き続き乱高下が続きそうです。

 週末の報道によると、WHO(世界保健機関)幹部は3日(金)、38の国でオミクロン型が検出され、「その感染力は非常に強い」と発信。全米でも10州に広がり、4日(土)には米大手金融機関ゴールドマン・サックスが2022年の米GDP(国内総生産)の成長率見通しを従来予想の4.2%から3.8%に引き下げました。

 南アの科学者は「オミクロン型は1度コロナに感染した人にも感染しやすい」「症状がマイルドだという見解は時期尚早」と述べたと報じられています。

 今週は経済指標の閑散期ですが、10日(金)に発表される米国の11月CPI(消費者物価指数)が最重要です。

 前回10月は前年同月比で6.2%上昇という高インフレ率となりましたが、11月も6.8%予想と物価上昇が続きそうです。

 オミクロン型の感染拡大で物流網が混乱し、物価がさらに上昇する懸念も広がっています。

 テーパリングのスピードアップなど、FOMC(米連邦公開市場委員会)の金融政策発表が来週15日(水)に迫っていることもあり、米国ナスダック市場や日本のハイテク株などは見切り売りに警戒が必要です。

 2020年のコロナショックのときは巣ごもり需要でオンライン関連株が上昇しましたが、3日(金)の米国市場を見る限り、今回は逆に最も売られる業種になっています。

 また、先週は中国の運転代行会社、滴滴出行(ディディ)が米国市場からの撤退を決めたことで、同社の株を大量保有するソフトバンクグループ(9984)が急落するなど、中国当局によるIT企業の締め付けも相変わらず。

 週末には、不動産大手・中国恒大集団の債務再編懸念が持ち上がっているのも気がかりです。

 オミクロン型、FRBの政策転換、中国情勢と、世界経済全体に暗雲が立ち込めています。

 つみたてNISAでS&P500のインデックスファンドなどに積立投資している人は、これまで絶好調だった投資成績の悪化があるかもしれません。

 株価急変のときこそ、注意して株式市場を観察し、株価急落の動きに慣れるようにしましょう。

 たとえ、損失が拡大しても慌てず騒がず、積み立てを続けることが大切です。