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こま足(平均足)
石原 順
外為市場アウトルック
リーマンショックの影響による景気回復に向けた歳出の増大が、世界中で財政赤字の拡大を招いた。政治家は財政再建をしなければならず、その結果、景気対策は中央銀行に押し付けられることにな…

こま足(平均足)

2008/2/22
数社の海外ファンドの運用を担当する現役ファンドマネージャーとして活躍する石原順氏による外国為替市場レポート「外為市場アウトルック」。お客様の投資のヒントにお役立てください。
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1990年代初頭の通貨市場のトレンドというのは本当に美しく順張りがしやすい市場であった。当時はトレンドフォローのシステムトレード主体のCTAやファンドの多くが通貨市場に参入し、大きなパフォーマンスを上げていた。しかし、システムトレードの優位性が喧伝され、市場参加者が皆一様に似たようなトレンドフォローの売買を始めたので過当競争が起こった。当然パフォーマンスは悪化し、1995年から1996年頃までシステムトレードはかなり下火になった。その後、1997年頃から複雑系やカオス理論が大流行となり、システムトレード界では「非線形の予測テクノロジー」が主流となった。筆者は複雑な理論ほど(シミュレーションではともかく)実際の相場では役に立たないと思っていたが、案の定ジェネリックアルゴリズムやニューラルネット系のファンドの多くは廃れていった。ここ最近はダニエル・カールマン教授の「損失回避理論」に代表される人間の投資行動パターンを分析する「行動ファイナンス理論」が人気となっている。

ようするに数学やコンピュータを使ったシステムトレードで儲けるのも大変な困難を伴うということだ。1995年以降はファンダメンタルズ、テクニカル、システムといった運用手法を問わずポジショントレーダーと呼ばれる長くポジションを持つ市場参加者が激減し、基本的にデイトレーダーが市場の主役となっている。リスク管理における時間の分散という意味では宵越しのポジションを持たないデイトレードはリスク管理がしやすいので、投資銀行やファンドなどの職業トレーダーは短期取引者の比率が圧倒的に高い。コンピュータ技術の進歩により千分の一秒単位で売買が出来るようになり、現在の米国市場では1分足はおろか秒足で売買するファンドも増えている。ケネス・グリフィン氏率いるファンドCitadel Investment Group(シタデル)はこのような驚異的なスピードの進化に対応した独自の売買手法で大成功を収めたと言われている。

筆者の20年超の相場体験の実感でいえば、市場参加者が多く成熟化した市場ほど儲けにくい。日本の市場で言えば株式先物市場より機関投資家しか参加していない国債先物市場のほうが儲けやすい。一般的にはプロばかりで個人や外人投資家の参入が少ない国債市場のほうが比較的儲けにくく思われているが実は逆である。日本の国債市場のような偏った市場はかならず一定のクセがあり行動ファイナンス理論が通用してしまうのである。一方、株式市場はそもそもノーベル賞学者がランダムウォーク理論を唱えているとおり、トレンドフォローが最も通用しにくい市場なのである。通貨市場は比較的トレンドを持ちやすい市場と言われるが、ここ数年は変動率が落ちており、以前ほどキャピタルゲインをとれなくなっている。この変動率低下の裏側にあるのがキャリートレードといわれる金利取りの売買である。

いずれにせよ、どんな市場にも通用する取引システムというのは存在しない。筆者は参入する市場によって取引手法を変えている。また1つの市場で必ず複数の手法を使って売買を行っている。

今回は筆者が豪ドル/円とニュージーランド/円の売買手法として使っているこま足(平均足)を紹介しておこう。上記の通貨はドル/円と比べて相場の方向性が比較的はっきりしており、トレンドフォローのシステムが機能しやすい。こま足(平均足)は陽線と陰線の連続的出現が続きやすいので、ヴィジュアルに相場の方向性がわかりやすく読者の売買の参考になると思われる。

豪ドル/円(こま足)
陽線(黄)で買い、陰線(黒)で売りの途点売買・赤のラインは豪ドル/円の日足の終値


(出所:石原順、ブルームバーグ)

ニュージーランド/円(こま足)
陽線(黄)で買い、陰線(黒)で売りの途点売買・赤のラインはニュージーランド/円の日足の終値


(出所:石原順、ブルームバーグ)

こま足(平均足)についてはインターネットで検索をすれば計算方法が紹介されている。1991年よりこの手法を幾つかの市場で使っているが、ローソク足よりトレンドの判定が容易である。また、始値・高値・安値・終値の平均値を使うことで実践的な売買に使う統計としての信用度は上がっていると思われる。なお、筆者はあくまで相場認識の1つの参考としてこま足(平均足)情報を提供しており、こま足(平均足)で売買すれば儲かるとかいう類の話ではないのでご留意願いたい。

さて、前回のコラムでドルの修正高局面が到来すると述べたが、ドル/円は2月14日に108円60銭まで上昇した。その後、輸出企業のドル売りや米経済指標の悪化で2月21日には107円15銭まで押しを入れているが、筆者の最も得意とするパターン分析からは107円ローから107円割れはドルの買い場と思われる。また、現在のユーロ/ドルの上昇も、ジグザグのボックス相場のなかでの最後の上昇と思われる。筆者はドル/円とユーロ/ドルは以下のチャートの黄色のゾーンが相場の転換点になると思っているので、ストップロスをおいて逆張りを敢行する予定である。(間違っていたらごめんなさい)

ドル/円(日足)


(出所:石原順、ブルームバーグ)

ユーロ/ドル(日足)


(出所:石原順、ブルームバーグ)

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