今日の為替トレッキング

今日の一言

誤った行動をとる事を恐れるよりも、敢然と正しい事を行おうとすることの方が、さらに勇気を要する

Never Really Over

 パウエルFRB議長は、今月のFOMCにおいて、緩和縮小の前倒し終了を議論すると明言しました。最優先事項を、雇用からインフレ対策にシフトするということで、FRBの金融政策は非常に重要な転換期を迎えることになります。

 今後発表される米経済が良好であるほど、FRBはインフレ退治の政策を強めていくでしょう。明日3日(金曜)は11月の雇用統計が発表されます。詳しい分析は「11月米雇用統計 詳細レポート」をご覧ください。

 10月の雇用統計で、平均労働賃金は前月比0.4%増、前年比4.9%増でした。この数ヵ月の賃金データは、新型コロナからの経済再開に伴い労働需要が増加するなかで、賃金の上昇圧力を示唆しています。ただし、最近の調査では、給料とインフレの関係は弱くなったこともわかっています。賃金が1.00%上昇してもインフレは0.04%しか上昇していません。

 19歳以上の米国人口のうち、働く意欲がある人の割合を示す「労働参加率」は、10月に61.6%とほとんど変化がなく、2020年6月以降、61.4%から61.7%の狭い範囲で推移しています。コロナ禍前の2020年2月よりも1.7ポイント低く、いまだにその差を埋められていない。

 労働参加率の低下は、米雇用市場の構造問題といわれていますが、それほど悲観する必要はないとの意見もあります。米国では多くのスタートアップ企業(まだ世に出ていない新たなビジネスモデルを開発する企業)が誕生して積極的に採用を増やしているのですが、この数字は雇用統計には正確に反映されていない。実際の労働参加率は雇用統計よりもっと高いといわれています。新しいビジネスで働く意欲を持つ人が増えていることは、米経済にとっては明るい材料です。

出所:楽天証券作成