金(ゴールド)、今月はかろうじて上昇。ドル高が重しに
以下は、先月末(10月29日)と先週末(11月26日)の、主要銘柄の終値を用いて計算した、騰落率です。先述の、NYダウと原油相場の26日の下落を含んでいます。
図:主要銘柄の騰落率(2021年10月29日と11月26日)
NYダウ、ドイツDAXといった、欧米の主要株価指数は下落しました。一方、ドル指数は上昇しました。金(ゴールド)相場がほぼ横ばいだったのは、「株安」起因の上昇圧力と、「ドル高」起因の下落圧力、その他、諸方面からの上昇・下落、両方の圧力がかかったためだと、考えられます。
足元の金(ゴールド)市場の材料をまとめると、以下のようになります。
図:足元の、金市場における6つのテーマ
短中期的なテーマと考える「有事のムード」「代替資産」「代替通貨」、それぞれから、金(ゴールド)相場に圧力がかかっていることがわかります。
上昇圧力は、「株安」だけでなく、「各種リスク拡大」、「インフレ懸念」、そして「ビットコイン(無国籍資産という点で金(ゴールド)と競合)の下落」から、かかっているとみられます。
※足元の「各種リスク」については、前回のレポート「金(ゴールド)はドル高でも上昇!原油は急落!欧州のコロナ拡大が主材料」でまとめていますので、ご参照ください。
一方、下落圧力は、「ドル高(ドルが買われる、ユーロが売られる、ともに)」、「テーパリング」「利上げ観測」から、かかっているとみられます。
当該期間、金(ゴールド)相場が、ほぼ横ばいだったのは、こうした上昇・下落、両方の圧力が相殺されたためだったと、言えるでしょう。現代の金相場の動向を説明する際、各種材料起因の影響力を足し引きすることは、必須スキルだと言えます。