年末株高の可能性は残る
もちろん、冒頭でも触れたように、今週末にメジャーSQが控えていますので、株価の下振れシナリオもくすぶっています。いわゆるSQ前の日経平均の値動きは、オプション取引において比較的売買が多いとされる「権利行使価格250円刻み」が意識されやすい傾向があります。
つまり、今週の日経平均は、先週末終値に近い2万8,000円を基準にして、上方向であれば、2万8,250円や2万8,500円、下方向であれば、2万7,750円や2万7,500円といった具合に250円刻みで株価水準が上下しやすいということになります。
先週の日経平均は2万7,588円の安値をつけた場面があり、これが「値覚え」となって、2万7,500円あたりまで再び下落することも考えられますが、この株価水準で下げ止まることができれば、年末にかけての株高シナリオの可能性は高まりそうです。
■(図2)日経平均(日足)の動き その2(2021年12月3日取引終了時点)
というのも、上の図2を見ても分かるように、日経平均の2万7,500円は「下値ゾーン」の上限あたりの水準です。さらに、「三角もちあい」の下限の線や、「下向きのチャネルライン」の上限の線とも重なっており、チャートの「クロスロード(交差点)」のような格好となっていて、次の展開待ちの様相を強めています。
仮に、今週の株価が下向きのチャネルラインの範囲内に入ったとしても、下値ゾーンを下抜けない限りは株価反発への意欲は保たれると思われます。
ちなみに下値ゾーンの下限は、図2のチャートの左端、つまりちょうど一年前の今ごろに株価がもみ合っていた2万6,800円あたりです。となると、2万7,000円割れの場面があっても想定内ということになります。
TOPIXも下値が堅い
また、「下値の堅さ」という点はTOPIX(東証株価指数)の値動きからも読み取れます。
■(図3)TOPIX(日足)の動き(2021年12月3日取引終了時点)
先週のTOPIXも日経平均と同様に、主要な移動平均線を下抜けてしまい、チャートのクロスロード(交差点)状態となっていますが、日経平均とは微妙な違いがあります。
まず、TOPIXには日経平均のような下値ゾーンはなく、とりあえず1,900pが下値の目安ラインとして意識されそうです。また、下向きのチャネルラインの上限の線と、9月14日を起点とする上値ラインとで「下方ウェッジ」を形成しているようにも見えます。
前回のレポートでは「上方ウェッジ」の下放れについて解説しましたが、下方ウェッジについては、上方向への意識が強い形状です。
さらに、チャートを過去にさかのぼって安値をつけた場面について見ていくと、8月20日、5月13日、1月19日と、図2の日経平均と日付が一致していることが分かります。
日付が経過するたびに安値が切り下がっていた日経平均に対して、TOPIXの安値は切り上がっており、長期の下値ラインとして、一本の直線で結ぶことができます。そのため、中長期的には日経平均よりもTOPIXの方が下値は堅そうな印象になっています。