「株」を理解するうえでも初心者はまず大企業・有名企業株に投資すべき!

 さあ株を買おう! と思ったとき、投資家が最初に直面するのがどの銘柄を買うかという問題です。株式を上場している企業の数は3,828社(3月18日現在)もあり、この中から銘柄を選ぶわけですから、悩んで当然でしょう。

 一つのアイデアとして、大企業や有名企業を選んで投資することをお勧めしたいです。投資初心者が株の面白みや株価の値動きなどを理解するうえで、もっとも適していると考えられるためです。

 それは、大企業や有名企業の「情報量」が多いためです。大企業や有名企業は多くの人の目にさらされていて、ニュースなどでも多く取り上げられます。また、新しい商品やサービスなどもひんぱんに投入することが多くなります。

 こうしたニュースや新商品の開発などは株価を動かす材料となります。初めて株を買ったとき、その株の値動きは非常に気になりますが、材料が少ない企業は日々の株価があまり動かないものも多く、株式投資への興味がやや薄れてしまうことにもなります。

 初心者が株式投資への興味を高めていくとっかかりとしては、株価を動かすニュースが多い大企業や有名企業への投資が基本となるでしょう。

 また、ニュースが多いと、そのニュースで株価がどう動いたかを毎回チェックできることになります。どういう情報で株価が上がったり下がったりするのかを理解できることになり、これは次の投資にもつながっていきます。つまり、「株」を勉強できる機会が多くなると言えるわけです。

 ひと口に大企業や有名企業といっても、その基準によって切り口はいくつもあります。「知名度が高い」「看板商品がある」などの主観的なものもあれば、「売上高が多い」「時価総額が大きい」など数字で示せる客観的なものもあります。株式市場で大企業の指標といえば時価総額でしょう。株価に株式総数を掛けたもので、シンプルに会社の値段でもあります。ちなみに、時価総額で日本最大はトヨタ自動車(7203)の約33兆円(3月18日現在)です。

■時価総額=株価×発行株数

 株価が1,000円のA社とB社を考えます。株価は同じでも、発行株数が違えば企業の値段は異なります。この場合だと、発行株数が多いB社の方が「大きい会社」ということになります。

  株価 発行株数 時価総額
A社 1,000円 500万株 50億円
B社 1,000円 5,000万株 500億円

とことん株価の値上がりを追求する外国人投資家の注目度を参考に

 知名度の高い大企業に投資するにしても、できれば株価の値上がりも期待したいところです。その意味では、より株価の値動きに敏感な、外国人投資家の動向を参考にするとよいでしょう。

 企業が公表している有価証券報告書には、外国人投資家や個人投資家など、投資主体別の株式の保有比率が示されています。外国人投資家の保有比率の高い企業は、株価が上がると思われる=これからの利益の成長が大きいと思われる企業群と考えられます。

 また、一般的に外国人投資家の保有比率が高い銘柄は、企業の経営者にとっても大きなプレッシャーとなるので、できるだけ、利益を上げて株価を上げようとする意識が強まることにもなります。

 外国人投資家は、ROE(Return On Equityの略称、自己資本利益率)を重視していると言われます。これは、企業の自己資本に対する当期純利益の割合です。

■ROE=当期純利益÷自己資本×100

 年間の当期純利益が100億円あり、その年の期末の自己資本が1,000億円であれば、ROEは100(億円)÷1,000(億円)×100=10(%)となります。自己資本は理論的に投資家が投下した資本であるといえます。

 なので、ROEとは投資家の資金を使ってどれだけの利益を上げられたのかという指標になります。この数値が高いほど企業の経営効率は高く、一般に、ROEが10%以上あれば優良な企業と言われるようです。

 以下の銘柄は、四つのポイントで選びました。ぜひ参考にしてください。

  • 時価総額が1兆円以上
  • 50万円以下で買える
  • 実績ROEが15%以上
  • 外国法人持株比率が15%以上

初めてでも選びやすい優良スター株10選

※株価などのデータは2022年3月18日現在
※最低投資金額の小さい順

ソフトバンク(9434)
株価 1,500.5円
いくらから
買える?
15万50円
ROE 39.1%
外国法人持株比率 19.76%
どんな会社? ソフトバンクグループの通信会社。割安スマホ市場で高い競争力を持つ「Y!mobile」、データ無制限プランが主力の「SoftBank」、オンライン専門の「LINEMO」の3ブランドを展開。シェア(市場占有率)は約25%。2022年3月期の営業利益は前期比0.4%増の9,750億円となる見通し。法人向けのサービスやヤフー・LINE事業が好調で、2021年3月期に発生した特殊な費用が一巡することも増益に寄与する。キャッシュレス決済サービス「PayPay」の決済取扱高は2021年7-9月期だけで1兆5,000億円の規模に拡大、中期的に金融ビジネスの本格展開につながっていく期待もある。
日本取引所グループ(8697)
株価 2,251円
いくらから
買える?
22万5,100円
ROE 16.6%
外国法人持株比率 38.23%
どんな会社? 東京証券取引所グループと大阪証券取引所が経営統合して2013年1月に現在の体制に。2019年10月に子会社化した東京商品取引所も抱える国内唯一の総合取引所グループ。2022年3月期の税引前利益は前期比9.7%減の675億円となる見通し。先物や商品デリバティブの取引高減少が影響する見込み。ただ、2021年4-9月期までは増益で推移、上振れとなる余地もある。株価は日経平均などとの連動性が強まりやすく、また、外国人投資家の日本株買いが本格化するとき、真っ先に買われやすいともされている。
SGホールディングス(9143)
株価 2,377円
いくらから
買える?
23万7,700円
ROE 19.0%
外国法人持株比率 16.34%
どんな会社? 佐川急便が中核となる運送会社。国内シェア(市場占有率)は約3割を占め、宅配便では業界第2位となる。規模よりも採算重視の方針で、企業間での物流獲得に力を入れている。2022年3月期の経常利益は前期比36.0%増の1,410億円となる見通し。巣ごもり需要によりネット通販などの荷物が増えたほか、コンテナ運賃が上昇する中で価格転嫁を進めたことで、利益は大きく拡大する見込み。業績は2022年3月期が当面のピークになるとの見方も多いが、コロナが収束した場合、利益率が高い企業間の物流需要が増えることで、利益の下支えになる。
MonotaRO(3064)
株価 2,600円
いくらから
買える?
26万円
ROE 33.1%
外国法人持株比率 80.00%
どんな会社? 企業間取引(BtoB)における間接資材(工具や安全用品、事務用品など製品に直接使用されていない消耗品や備品)などの購買サイト「MonotaRO」を運営している。商品点数は1,800万点超。米国グレンジャー社の子会社。2022年12月期の経常利益は前期比0.4%増の244億円となる見通し。2010年12月期以降は目覚ましい売り上げ・利益の成長が続いていたが、新物流センターの稼働や機能移転に伴う物流関連費用の増加で成長率は鈍化する見込み。期待材料は、インド事業の売り上げ成長。物流3拠点を追加開設する。
ZOZO(3092)
株価 3,230円
いくらから
買える?
32万3,000円
ROE 68.8%
外国法人持株比率 23.39%
どんな会社? 衣料品通販サイト「ZOZOTOWN」を運営する業界トップ企業。アパレルブランドからの受託販売手数料が収益源となる。2019年9月に創業者の前澤友作氏が社長を退任し、11月にZホールディングスの子会社に。2022年3月期の経常利益は前期比7.7%増の478億円となる見通し。商品取扱高が大きく伸長し、受託手数料収入が拡大している。足元、2021年10-12月にかけて商品取扱高が一段と急拡大しているが、AI(人工知能)などを駆使して顧客データを活用した最適な販促活動に取り組んでいることが背景にあるもよう。
神戸物産(3038)
株価 3,940円
いくらから
買える?
39万4,000円
ROE 29.2%
外国法人持株比率 16.28%
どんな会社? 食料品ディスカウント店「業務スーパー」を運営。2022年1月末で国内956店舗を展開し、大半がフランチャイズチェーン(FC)店。国内自社工場は25工場、国内自社アイテム数は約340。海外直輸入アイテム数は約1,500。2022年10月期の経常利益は前期比0.4%増の292億円となる見通し。原材料や海上運賃の高騰、為替の影響(円安はマイナスとなる)による収益鈍化を見込んでいる。たびたびメディアに取り上げられ、株価の材料となるケースが多い。これから材料費上昇に伴う値上げ実施などが発表されれば、株価のプラス材料となる。
中外製薬(4519)
株価 4,025円
いくらから
買える?
40万2,500円
ROE 28.0%
外国法人持株比率 77.38%
どんな会社? 医薬品大手の一角。2001年12月にロシュと戦略的提携を行い、連結子会社となっている。がんのほか、感染症、骨、血液などの治療薬に強み。代表的な自社製品は、自己免疫疾患治療剤「アクテムラ」、肺がん治療剤「アレセンサ」、血友病治療剤「ヘムライブラ」など。2022年12月期の営業利益は前期比1.4%増の4,400億円となる見通し。一時的な特許料収入が一巡するが、新製品群の順調な売上拡大が見込めるようだ。日本政府が新型コロナウイルス治療薬「ロナプリーブ」の追加購入を検討していることなどが期待材料となる。
エムスリー(2413)
株価 4,251円
いくらから
買える?
42万5,100円
ROE 20.7%
外国法人持株比率 31.50%
どんな会社? 医療従事者の情報ニーズにこたえる会員制サイト「m3.com」、製薬会社の情報提供を支援する「MR君」など、医療情報サイトを運営。国内30万人以上の医師が利用している。2021年4-12月までの税引前利益は前期比倍増の852億円。関連会社の株式上場に伴う利益が発生したが、それを除いても2ケタの利益成長に。主力事業が成長を維持したほか、新型コロナのワクチン接種支援も寄与した。中国での「MR君」、注力する治験事業、AI・データの利活用など、今後の拡大が期待される分野は豊富にある。
野村総合研究所(4307)
株価 4,340円
いくらから
買える?
43万4,000円
ROE 21.8%
外国法人持株比率 31.11%
どんな会社? 野村証券系のシステムインテグレーター(情報システムの企画、構築、運用などの業務を一括して請け負う情報通信企業)。野村ホールディングス、セブン&アイ・ホールディングス、資生堂など、多くの業界トップ企業を顧客に抱える。2022年3月期の税引前利益は前期比46.3%増の1,040億円となる見通し。豪州子会社の新規連結化による押し上げ効果のほか、保険業向けや物流、不動産向けなどが好調のもよう。2021年12月に、DX(デジタルトランスフォーメーション)事業を手掛ける米コアBTS社の株式取得を完了。海外事業の本格拡大を推進するものとして、今後の展開が注目される。
ソフトバンクグループ(9984)
株価 4,961円
いくらから
買える?
49万6,100円
ROE 61.9%
外国法人持株比率 26.41%
どんな会社? グループ会社には、運用資産10兆円のソフトバンク・ビジョン・ファンド、Zホールディングス、ソフトバンク、海外では中国アリババグループや英半導体設計大手ARMなどがある。なかでも、アリババが当社の価値の多くを占める状況にある。投資会社としての側面が強いため、米ナスダックや中国ハイテク株の株価動向が株価を動かす要因となる。決算数値そのものへの関心はあまり高くない。高水準の自社株買いの加速や追加が期待材料となるほか、MBO(マネジメントバイアウト:経営陣による買収)の実施などを想定する見方も多い。