米国株インデックスファンドに投資するなら○%の損失は想定内

 ここで、「リスク」の意味を改めて説明します。

 投資の世界での「リスク」とは、一般的に「標準偏差」という概念で示されることが多く、また年率表示されていることが多くなっています。リスクについて一言で言えば、「今後1年間でどの程度値動きするかの目安」ということになります。

 投資である以上は、1年後この資産がいくらになっているかをピンポイントで当てることは、当然、困難です。しかし、1年後の価格にどのくらいの振れ幅が生じるかは、過去の値動きを観測することで、ある程度予測することが可能なのです。

 実際に、具体的な数字で見ていきたいと思います。

 米国株式のリスクは約18%となっています。これを分かりやすく言い換えると、今後1年間で下記のような値動きが想定されます。ショック時には、▲50%以上の下落があることも想定に入れておいた方がよいでしょう。

値動き 感覚的には… 実際の発生確率
▲18%~+18%程度(1標準偏差) 平常運転 約68%の確率でこの範囲に収まる
▲36%~+36%程度(2標準偏差) 十分想定の範囲内 約95%の確率でこの範囲に収まる
▲54%~+54%程度(3標準偏差) ショック時/熱狂時 約99.7%の確率でこの範囲に収まる

 米国株式に投じた資産がいま仮に500万円になっているとすると、今後1年間で相場のショック時には一時的に250万円程度の損失が出る可能性もあるということです。

 このリスクをあらかじめ想定した上で投資をしていけば、下落時にも必要以上にあわてることはなくなるでしょう。

出所:筆者作成

 では、一般的に低リスク低リターンといわれる債券は、どの程度の値動きになるでしょうか。

 世界債券(為替ヘッジあり)のリスクは約3%となっています。こちらも感覚的に分かりやすく言い換えると、今後1年間で下記の可能性があります。

 ショック時でも、10%程度以内には下落が収まることが想定されます。

値動き 感覚的には… 実際の発生確率
▲3%~+3%程度(1標準偏差) 平常運転 約68%の確率でこの範囲に収まる
▲6%~+6%程度(2標準偏差) 十分想定の範囲内 約95%の確率でこの範囲に収まる
▲9%~+9%程度(3標準偏差) ショック時/熱狂時 約99.7%の確率でこの範囲に収まる

 先ほどの米国株式とは異なり、世界債券に投じた資産がいま500万円だとすると、今後1年間で大きな下落でも50万円程度がめど。10%も下がることがあれば、債券にとっては相当大きな下落なのです。

出所:筆者作成

 このように、投資する資産によってこれだけ値動きが異なります。自分の投資先資産の値動きを頭に入れておけば、先ほど挙げた2つの「よくある失敗パターン」を避けられるようになります。

 大きく下がったときにも、「想定範囲内だったね」と必要以上にあわてることが少なくなり、底値での投げ売りなどを避けられます。そして、価格が戻ってきたときにも長期的なリターンが得られることを理解していれば、少し利益が出たところで「やれやれの売り」などをしてしまうことが少なくなるでしょう。