コロナ以外のリスク要因、「脱炭素」「枠組み乱立」「ボイコット」

 前回のレポート「金(ゴールド)大幅上昇!原油は膠着(こうちゃく)!?溝深まる世界」の中で、「ドルキャリー取引の巻き戻し」が、リスクの一つだと述べました。詳細はこちらをご覧ください。

「ドルキャリー取引の巻き戻し」は、新興国、ひいては世界全体の景気回復を鈍化させる、大きなリスクになり得る、直接的な景気悪化要素です。以下で述べるのは、主に、間接的な景気悪化要素です。主張、思想、パワーバランスなどの側面から、世界規模の不和が生まれ、その結果、世界景気が悪化するイメージです。

図:「脱炭素」をはじめとした、世界に漂う「短中期的リスク」

出所:筆者作成

 黎明期や過渡期という言葉がふさわしい“現在の”「脱炭素」は、さまざまなリスクをもたらす要因であることは、これまでのレポートでも述べてきました。それ以外に、「枠組み乱立」「ボイコット」「新型コロナ」なども、範囲・インパクトが大きいリスクと言えるでしょう。

 世界には、「ドルキャリー取引の巻き戻し」のほか、上記のような複数のリスクが漂っているため、金(ゴールド)の「資金の逃避先」としての魅力があせることは、当面の間、考えにくいと筆者はみています。

「各種リスク」と「インフレ懸念」は、しばらく(例えば数カ月程度)、ドル高起因の下落圧力を相殺し続け、時折、金相場をさらなる高みに導くきっかけになると、筆者は考えています。