今日の為替トレッキング

今日の一言

すべてが同等ならば、計画と準備が戦いの勝者を決める – アイゼンハワー将軍

Go Your Own Way

 今夜、トルコ中銀は政策金利を発表します。トルコ中銀は政策金利を16.00%から15.0%に利下げすると見られています。

 トルコリラは、先月10月20日にトルコ中銀が政策金利を18.00%から16.00%まで一気に引き下げたことで下落に拍車がかかり、トルコリラ安が急激に進んでいます。

 11円台までリラ安が進んでいたトルコリラ/円は、今夜の政策金利発表を前にしてついに10.65円まで史上最安値を更新中。トルコリラが下げ止まる気配は今のところなく、利下げ幅が予想より大きければ、さらに加速するリスクがあります。逆に、可能性は低いものの、利下げ見送りということになれば、急反発の可能性があります。流動性の低い通貨なので充分な注意が必要。

 トルコの政策金利はすでに国内インフレ率より低い実質マイナス金利の状態。これがリラ安の主な原因ですが、トルコ中銀は、インフレは「一過性」だとして利下げを正当化、この状態を是正する考えはなし。もちろんその背後には政治的圧力があることは明らかです。

「われわれは、人々の背中にのしかかる、この金利という災いを取り除く。国民が金利に押しつぶされることは絶対に許されない。」エルドアン大統領はこのように宣言しました。インフレとの戦いではなく高金利との戦いです。エルドアン大統領は、支持率が過去最低まで下がっていることに焦りを感じているようで、国民に不人気な高金利政策をやめたい。どれだけリラ安になろうが、人気回復のために今後も利下げを続ける可能性が高い。

 トルコ中銀の独立性は、すでに失われています。利下げに反対するトルコ中銀のメンバーはすべて大統領によって更迭されました。格付け会社フィッチ・レーティングスは、「トルコ中銀が必要に応じてリラを防衛する余地はほとんどない」と見放しました。

 トルコは対米関係でも大きな問題も抱えています。トルコ国営銀行ハルクバンクが対イランの制裁回避を手助けしたとして米国がトルコを起訴する可能性があることです。そうなった場合にはトルコの経済が大きなダメージを受けるだけではなく、中東の地政学リスクが高まることになります。

出所:楽天証券作成