今日の為替トレッキング

今日の一言

常識とは18歳までに身につけた偏見の寄せ集めのことをいう  - アインシュタイン

Up Where We Belong

 BLS(米労働省労働統計局)が11月5日に発表した10月の雇用統計は、NFP(非農業部門雇用者数)が53.1万人増加し、失業率は0.2パーセントポイント低下して4.6%になりました。平均労働賃金は、前月比0.4%増、前年比4.9%増。

 53.1万人というのは予想中央値以上であり、これまで2カ月連続で予想を大きく下回ったことを考えると健闘です。とはいえ、今年の5月や6月に見られたような「月100万人増」にはまったく及ばない。

 10月の非農業部門雇用者数は「可もなく不可もなし」という結果で、FRB(米連邦準備制度理事会)は金融引き締めをこれ以上焦ることもなく、ホッとしているかもしれない。

 雇用の内訳を見ていくと、レジャー部門の仕事が急増して16.4万人の雇用増。ビジネスサービスも10万人増加。平均労働賃金は、経済再開後の雇用が低賃金労働者に偏っていたことで下がっていましたが、観光地などのレジャー関連の仕事が大きく伸びたおかげで、上昇傾向を示しています。

平均週間労働時間は興味深い結果となりました。一般的に、企業が従業員の確保に苦労している状況では残業が多くなるものですが、10月の週間労働時間が逆に下がっていた。労働不足の解消が進んでいると好意的な解釈ができます。

 労働参加率は横ばい状態が続いていますが、年代別に見ると明るい兆しが見えます。それはプライムエイジと呼ばれる25-54歳の働き盛り世代の労働参加率が上昇傾向を示していること。平均週間労働時間の低下と合わせると、中堅層の労働者が雇用市場に戻ってきていると推測できます。大量退職時代を迎えて構造的労働力不足を懸念しているFRBにとっては、心強いデータです。

出所:楽天証券作成