日本におけるテーパリングの状態

 欧米においては買い入れる国債などについて毎月の金額を設定し、それに基づいて買い入れを行っているため、その金額を減らすのか減らさないのかというテーパリングがいつ始まるかが注目されてきましたが、日銀は毎月の金額は設定せず、示しているのは上限だったり、必要に応じてという形を取っているため、いつテーパリングが始まるのかという議論にならずに、事実上、既にテーパリングをしている状態(日本国債においてはテーパリングを終了している状態)となっています。

 違った視点から見ると、日本においては、事実上のテーパリングをせざるを得ない状況もあるようにも思います。

 日本国債においては、日銀の保有割合が足もとで5割弱となっていて、流動性の問題が言われている状況にあります。コマーシャルペーパーや社債においても、日銀が買い入れをしていることによる流動性の問題が言われています。

 ETF買いにおいては、日本株が大きく上昇した中で日銀が買う意味があるのかという声や、出口戦略を示していない中で買い入れをしていることに対しての懸念の声が上がっています。

 みなさまの中で関心がある方が多いと思われる日本株について思うところとしては、少なくとも日銀が積極的に買い入れていたときは、「下がるときに下がりにくく、上がるときにはより上がる」という形になっていたように思います。

 しかし、現在は買い入れが以前に比べて大幅に減っているため、日銀の影響のみを考えたざっくりとしたイメージですが、「下がるときにはこれまでより下がり、上がるときにはこれまでのようには上がらない」という動きになることを頭の片隅においておく必要があるように思います。

 投資はあくまでも自己責任で。