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今日の一言

先進国の雇用市場は、労働不足と余剰が共存。適さない仕事や地域にいる人が多く存在している

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 BLS(米労働省労働統計局)が11月5日に発表した10月の雇用統計は、NFP(非農業部門雇用者数)が53.1万人増加し、失業率は0.2パーセントポイント低下して4.6%になりました。平均労働賃金は、前月比0.4%増、前年比4.9%増。

 雇用統計によると、2020年5月から2021年10月までの17カ月間で、非農業部門雇用者数は合計約1、820万人増加しましたが、新型コロナ発生前の2020年2月前に比べると、まだ約420万人下回っています。2021年1月から雇用者は平均すると毎月54.7万人増えています。今後もこのペースで増えていくとするならば、雇用者数は2022年6月までには新型コロナの前の状態に戻り、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が目指す「最大雇用」を達成できることになります。

 19歳以上の米人口のうち、働く意欲がある人の割合を示す「労働参加率」は、10月に61.6%とほとんど変化がなく、2020年6月以降は61.4%から61.7%の狭い範囲で推移しています。コロナ禍前の2020年2月よりも1.7ポイント低く、いまだにその差を埋められていません。

 労働参加率の低下は、コロナ後に顕著に表れた米雇用市場の構造問題だといわれていますが、その一方で、楽観的な見方もあります。米国では多くのスタートアップ企業(まだ世に出ていない新たなビジネスモデルを開発する企業)が誕生して採用も広がっています。しかし、その数字は労働参加率には正確に反映されていないというのです。実際は上昇しているという意見です。旧モデルのビジネスよりも新しいビジネスで働く意欲を持つ人が増えているのだとすれば、米経済の裾の広さを示しているといえます。