2022年末までにS&P500は5,000ポイントに到達すると予想

 上述のように、2022年も長短金利は「順イールド」(短期金利<長期金利)を維持すると思われ、長期市場実績を振り返ると総じて「株高を支えてきた利回り曲線の形状」として続きそうです。

 もちろん、突然の悪材料やその経済・金融的な影響を正確に予想することは困難です。筆者は、FRBが米国のゼロ金利解除(利上げ開始)を開始するのは早くても2022年後半と考えています。

 こうした動きを警戒し、2022年後半は株式市場のボラティリティ(変動性)がやや高まる可能性に留意しておくことが必要でしょう。ただ、FRBが流動性や金融政策の引き締めを本格的にしそうな2023年までは、米国株の上昇基調が続いていくと想定しています。

 図表4は、筆者が想定する米国株(S&P500種指数)の2022年に向けた予想軌道を示したものです。長期市場実績に基づく季節性を考慮し、年末高の反動による「年初安」、「年央に向けた株安」、「秋の株安」を消化しつつ、2022年の年末までにS&P500種指数は5,000ポイントに到達していくと予想しています。

 イールドカーブ(利回り曲線)が徐々にフラットニング(平坦化)しながら「逆イールド」(短期金利>長期金利)に接近するか否かを見極めたいと思います。

 業績拡大のピークアウト感が市場に広まるタイミングに留意しながらも米国株には長期的な投資戦略を維持していくことが合理的と判断しています。

<図表4:2022年に向けたS&P500指数の予想軌道

*上記した予想軌道(破線)は参考情報であり投資成果を確約するものではありません。
(出所)Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2021年11月初時点予想)

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